中国総理李強氏は最近、国際外交の舞台で頻繁に姿を現している。27日「夏のダボス会議」に出席しただけではなく、19日にはドイツを訪問した。しかし、ドイツへの訪問は李強氏にとって驚きの連続だった。ある男性がドイツ首相府の前でプラカードを掲げ、李強氏が習近平総書記の後継者になるよう求めた。
ネット上で流れている写真には、赤いTシャツを着た男性がドイツ首相府で、「浙江総商会は李強を支持し、習近平の後継者になるよう求めます」、「2027年、習下李上(習が去り、李が継ぐ)、ドイツ温州同郷会は李強を支持します」と書かれたプラカードを掲げる様子が映っている。
この男性がこの看板を掲げた意図が皮肉めいているかどうかは不明だが、李強氏は確かに浙江温州で生まれ育ち、「浙江省工商業連合会」と密接な関係がある。
公開された情報によると、李強氏は浙江省出身であり、2016年まで浙江省内でキャリアを積んでいた。李強氏は2004年11月に中国共産党浙江省書記に任命され、2005年9月には中国共産党(以下、中共)省委員会常務委員および浙江省党委員会書記を兼任し、副省級幹部となった。当時の浙江省委員会書記であった習近平氏を補佐したため、「之江新軍」(注1)の核心メンバーとして知られ、中共第20回全国代表大会で国務院総理に選出された。
しかし、李強氏が総理に就任して初めての外遊は格下げされた。中共第18回全国代表大会以降、「中共中央委員会書記および国務院総理の外遊には『専用機』が使用される」と規定されていたが、李強氏は今回、「チャーター便」に格下げされた。一部の専門家は、これは習近平氏の地位を強調するためのものかもしれないが、李強自身もおびえていると分析した。
注1:之江新軍(しこうしんぐん)とは、習近平党中央委員会総書記がかつて地方紙に連載した政見コラムの支持者となった浙江省縁故の下僚で、その後要職に就いた一群の政治関係者のことを指し派閥のようにみなされている。
(翻訳・吉原木子)