スクリーンネーム「老蛮(ろうまん)」という経済・金融の専門家が最近、中国国家統計局が公開している農村から都市に出稼ぎする「民工(みんこう)」の就職データを分析しました。
これは、2008年から2022年までの中国における民工の雇用データ統計表です。なぜ2008年から始まるのかというと、中国国家統計局が2008年からこのような抜き取り調査を開始したからです。
まず、一列目のデータ、民工の総数を見てみましょう。2008年の民工の総数は2.25億人でしたが、2016年には2.8億人となり、純増は5629万人です。つまり、年平均増加人数は704万人です。これは中国経済の高速発展の結果です。2016年以降、民工数の増加は鈍化し、2022年には総数が2.95億人になり、総増加数は910万人となりました。2017年から2022年までの民工の年平均増加数は152万人で、これまでの年平均増加数の21.6%に相当します。これは都市が民工を吸収する能力を徐々に失っていることを意味します。また、最も民工を必要としている製造業や建設業では、民工の総数が2016年前後にピークに達し、その後は縮小しています。
以下は2008年以来の中国の民工の雇用データ一覧です:
製造業の民工総数は、2016年に8761万人のピークに達し、2022年には8010万人と8.6%減少しました。これは中国の製造業が実際に年々縮小していることを示しています。
建設業の民工の総数は2015年に6188万人のピークに達し、2022年には5232万人と15.4%減少しました。これは、近年の中国の固定資産投資領域の縮小、特に不動産バブルの崩壊により、建設業界が急速に低迷していることを示しています。
建設業と製造業が民工を吸収しなくなったことで、ここ数年に増加した民工は、主に宅配便やデリバリーのサービス業に集中しています。
中国の宅配業界の推計によると、宅配業の総人数は、2016年の200万人から2022年末には470万人に増加しました。また、フードデリバリーサービス「美団(びだん)」の配達員は2016年の220万人から、2022年末には580万人に増加しました。宅配やフードデリバリーなどの配達員は、ここ6年間で530万人もの人数が増加しました。さらに、宅配便やフードデリバリーは職種としてあまり区別されておらず、互いに兼職することが多く、実際には同じような仕事をしているのです。
ここで、特に注目すべきデータは、大卒者の民工が急増していることです。2016年以降、民工の総数は成長性を失い、2017年から2022年の間に合計で910万人増加しました。
しかし、この期間において、大卒者の民工は2951万人から4050万人まで増加し、1099万人純増しました。この数は、この期間に増加した民工の総数よりも189万人多くなっています。これはただ一つの事実を示しています。つまり、ここ6年間、卒業した大学生たちは仕事を見つけることができず、結果的に宅配便やフードデリバリーの仕事に追い込まれており、大学生が民工の増加分を食いつぶしてしまっていることです。それだけでなく、貧困な大学生たちは半識字者の民工から189万人の仕事を奪ってしまっています。
もう一つのデータを挙げましょう。2022年には、大卒者の民工は前年より364万人増加しました。同年度の大学卒業生の総数は1076万人、つまり、大学卒業生の33.8%が民工として働いています。「美団」が発表したデータによると、配達員の中で大学以上の学歴を持つ人の割合はすでに3割に達しており、これは先ほどの民工のデータと非常に一致しています。
上記の民工のデータから、現在の中国の雇用状況がいかに深刻であるかがわかります。この厳しい状況に対処するために、大学生たちを農村に送り返すことは絶対に問題解決につながりません。農村の若者たちはすでに進路を失っており、製造業、建設業、宅配業界も彼らを受け入れることができなくなっています。それ故に農村に数千万人もの大学卒業生の雇用問題を解決させることを期待することはできないでしょう。
結局のところ、製造業こそがすべての雇用の基盤です!製造業の発展は、大量の雇用機会を提供するだけでなく、関連産業の成長を促進し、経済全体の発展に貢献します。製造業が発展しなければ、技術革新や経済成長の源泉となる産業が失われ、雇用の創出も制限され、中国の雇用問題も解決不可能です。
しかし、中国の製造業の発展にはさまざまな課題が存在します。国内外の競争力の向上、労働者のスキル向上、環境への配慮などが求められます。政府や企業は、製造業の成長を支援し、雇用の確保と労働者の福祉を重視するために努力する必要があります。
また、若い世代の雇用問題もますます深刻化し、最優先の問題として国全体が取り組まざるを得なくなるでしょう!
(翻訳・藍彧)