5月下旬は小麦の収穫が行われる農繁期であり、小麦の主産地である中国河南省南陽市では、数百台の収穫機が高速道路で5日間も滞り、しかも現地は連日の大雨に見舞われ、大きな被害が発生した。

 最近、百台以上の収穫機が高速道路を出られないというニュースが話題となっている。中国複数のメディアの報道によると、事件の発端は河南省南陽市の小麦生産地域が収穫時期に入り、現地の農家が南陽市外から多数の収穫機を雇って、収穫を手伝ってもらったことにある。しかし、これらの収穫機がトラックに積まれて高速道路に入ると、唐河県の料金所で止められた。

 ネットユーザーが投稿した動画には、現地の交通警察はこれらの収穫機を積んだトラックを一つ一つ測定する様子が映っている。その結果、これらのトラックは制限高さや重量超過したと認定された。また、交通警察はこれらのトラックの運転手たちが南陽市に進入する際に必要な「地域間作業許可証」を取得していないため、「無許可作業」に該当し、通行できないとした。

 一方、あるトラック運転手の賀さんは、私たちは「地域間作業許可証」を既に取得しており、従来は各地の高速道路で無料通行していた。しかし、今回は800元(約1.6万円)の高速料金を払うようにと言われ、本当に理解できないと述べた。
中国メディアの報道によると、この事件には100台以上の収穫機が関与しており、高速道路で最長で7日間も滞留され、後から到着した収穫機も3日から5日間足止めされたという。

 収穫機が足止めされたままの状態で、南陽市を含む河南省全域は5月25日以降、連日の大雨に見舞われた。これにより、多くの麦畑で小麦が雨水に浸かり、発芽し、収穫ができなくなった。1台の収穫機が1日に約100ムー(約6.67ヘクタール)の小麦を収穫できるとすると、高速道路上に滞留していたこれらの収穫機は、大雨の前に少なくとも3万ムーの小麦を収穫できたはずである。

 ネット上で出回っている動画には、ある79歳の河南省の農民は、発芽した小麦を手に持って、涙を拭いながら悲しんでいる姿が映っている。動画中の農民は自分が小麦を生計にしており、収穫の時期が来たと思ったら、育てていた小麦が全て発芽してしまった。現在は売ることもできず、自分で食べることもできないと嘆いた。

 情報筋によると、収穫機が高速道路で足止めされている様子を投稿した多くのネットユーザーが、河南省農業農村庁から「不適切な発言」を速やかに削除するよう求めるメールを受けたという。

(翻訳・吉原木子)