中国雲南省玉渓市(ぎょくけいし)通海県(つうかいけん)のモスク(イスラム礼拝所)「納家営清真寺(せいしんじ)」が、中国当局により強制的な取り壊しが決定され、現地住民が5月27日と28日に抗議活動を行いました。この抗議に対し、武装警察がモスクを包囲し、民衆の立ち入りを禁止する措置が取られ、大規模な衝突が発生しました。この衝突では負傷者や逮捕者が出ていると報告されています。
中国当局は最近、雲南省玉溪市通海県の「納家営モスク」のドーム部分を強制的に撤去し、中国当局が認可する建築様式に置き換える計画を立てました。これに対して、現地のイスラム教徒が反対・抵抗しています。
中国当局は5月27日の早朝6時、工事スタッフを派遣して納家営モスクを強制的に取り壊そうととしたが、現地住民たちは自発的に集まって取り壊しを阻止しました。その後、中国当局は数千人の武装警察を派遣して鎮圧しました。武装警察は唐辛子スプレーや警棒などで民衆を殴り、疎開させようとしたが、民衆は素手で反撃しました。
推定1万人の民衆がモスクの周りに集まり、警察と対峙していました。警察はモスクの入口を封鎖し、住民の進入を阻止しました。その後、怒った民衆は警察に石を投げつけるなど、衝突がエスカレートしました。民衆の強い抵抗を受けて、中国当局は一時的に武装警察を撤退させました。民衆はモスクに入り、足場を撤去しました。
現地住民、事件当時の状況説明
「私は地元の住民で、今日(27日)の出来事の目撃者でもある。数時間前からこの周辺で多くの特警車(SWAT)が頻繁に行き来している。これまで、雲南省では納家営モスクと沙甸モスクの2か所だけがドーム部分の撤去に同意していない。今朝6時過ぎから強制執行が始まった。現時点の情報では、武警特警は一時撤退したようだ。友人たちが唐辛子スプレーをかけられ、警棒で殴られた」
現地住民たちが明らかにしたところによると、5月28日に多く武装警察が鎮圧用装備を持って納家営モスクに入り、納家営の路上には多数の武装警察車が駐車しており、さまざまな種類のネットワーク信号遮断車が清真寺周辺に配置されているといいます。制服を着た武装警察の人数は5000人以上で、民衆の中に紛れ込んでいる私服警察は数え切れないほどです。多くの市民が逮捕されました。大量の武装警察の付き添いの下、工事スタッフたちが納家営清真寺に入り、強制的取り壊そうとしていました。
ネットユーザーが現在の納家営清真寺の様子を投稿しました。
伝えられるところによると、中国当局は雲南省の沙甸モスクにも強制的に解体や改築を実施する予定です。
イスラム教の中国化
これは、中国共産党が実施しているいわゆる社会主義の価値観に合わせてイスラム教を「中国化」する5カ年計画です。2017年以降、中国全土のほぼすべてのドームやミナレットを持つ数万のモスクが順次に強制的に改築されてきました。現在では、わずかに残っている大きいモスクの一部のみがまだ改築されていない状態です。
情報筋よると、2017年以降、中国各地の地方政府が中央当局の指示に従い、国内のモスクに対してイスラム教の特徴を持つドームを取り壊し、仏教寺院のスタイルの屋根に改築するよう要求しています。現在、雲南省の納家営モスクと沙甸モスクなどのごく一部のモスクを除いて、すべてのモスクのドームはすでに撤去されてしまいました。
納家営の回族の由来
納家営はイスラム教を信仰する少数民族の回族が数多く暮らしている村で、街中にはヒジャブをかぶったムスリムの女性が多く見られます。通海県の現地の人々によれば、元朝の初代皇帝クビライが率いるモンゴル軍は大理国を滅ぼした後、その兵士の多くが雲南省に残りました。通海県興蒙モンゴル族郷のモンゴル人は、当時のモンゴル騎兵の子孫であり、納家营の村民はクビライ軍中にいた回族の末裔です。
納家営モスクは元の時代に建てられたもので、600年以上の歴史があります。建物全体の面積は約1万平方メートルで、1700人以上の礼拝が可能です。このモスクは、地元のイスラム教徒の宗教活動や教育の中心地です。
(翻訳・藍彧)