中国国家統計局は5月16日、4月の経済データを発表しました。16から24歳の若者の失業率は20.4%に達し、これまでの最高記録を更新しました。中国教育部の推計によると、今年は過去最高の1158万人の大学新卒者が卒業する見込みです。一方、若者の主な雇用源である中国の中小企業は大量に廃業や倒産が進んでいます。

 中国政府は、中小企業を中・小・零細の3つに分類しています。中小企業は、労働生産性の向上、雇用拡大、所得格差の縮小、市場競争の促進において重要な役割を担っています。2018年まで、中国の企業の9割が中小企業であり、その数は3000万社を超えています。これらの中小企業は、国全体の税収の5割、GDPの6割、技術革新の7割、都市の労働雇用の8割を生み出しており、中小企業が国民に直接的な影響を与えることは明らかです。

 中国の公式は中国経済の回復を謳っていますが、4月の報告では、中国の中小企業は現在、市場の需要不足や資金不足などの困難に直面していることを認めています。中小企業の活力を取り戻せなければ、雇用の拡大どころか企業の生存すらも脅かされるでしょう。

 中国国内メディアの報道によると、2021年には437万社の中小企業が倒産し、新規登録された中小企業はわずか132万社にとどまりました。中国における中小企業の倒産数が新規登録数を上回ったのは、数年来初めてです。2022年上半期には中国全体で46万社の中小企業が倒産し、平均すると約1分に1社の中小企業が倒産しています。

 米国在住の中国の民間企業家である孟軍氏は、5月13日に放送された新唐人テレビの番組「菁英論壇(エリートフォーラム)」で、現在、自分の工場が所在する工業団地では、事実上の倒産や再開できない状況に陥った企業が半数近くに達していると述べました。

 倒産する原因は2つあると孟軍氏が指摘しました。まず、資金調達の困難さが挙げられます。工場が一時停止した後、再開するには資金が必要ですが、中国では中小企業が銀行から融資を受けることが非常に難しく、通常は高金利でしか資金を調達できない小規模な銀行に頼ることになります。一般的な国有大手銀行は中小企業に対してほとんど融資を行わないのが現状です。
2つ目の原因は、受注不足です。孟氏の工場が所在する工業団地では、今年の旧正月の後、多くの友人が「仕事は再開したか」と尋ね合っていましたが、受注がないため再開できないという回答が多かったのです。

 孟軍氏は番組の中で、中国で民間企業を経営する上での困難な道のりを紹介しました。過去3年間、新型コロナウイルス感染症の流行期間中、中国当局が極端な封鎖やゼロコロナ政策を実施したため、孟氏の売上高3億元(約60億円)の企業は完全に倒産してしまったと語りました。

 孟軍氏は、自分のラテックス輸出企業が2017年と2018年に受注が多く、最も繁栄していたと述べました。しかし、2020年初めのパンデミックの発生後の2年間、彼の工場は繰り返し閉鎖されました。工場が所在する地域では、1つの陽性例が見つかると、その地域全体が完全封鎖され、全員に対してPCR検査が実施されるなどの対策が取られました。2021年末には、これ以上工場を再開する意味がないと感じ、広西チワン族自治区、北京、重慶のすべての事業を停止しました。

 また、中国問題の専門家で時事評論家の石山氏も同じ番組の中で、中国の経済発展の3つのエンジンである輸出、消費、投資がすべて問題に直面していると指摘し、現在の中国経済がすでに窮地に陥っていると述べました。

(翻訳・藍彧)