かつて「世界の工場」として知られた中国広東省東莞市(とうかんし)では、多くの若者が就職難に直面しています。最近、ネット上で拡散された情報によれば、東莞市では数多くの失業した若者が男女問わず、コンクリートパイプで生活を始めています。彼らは仕事がなく、収入も得られないため、家賃を支払うことができず、荒れ果てた山や野外のコンクリートパイプの中で苦しい生活を送っています。
一部のネットユーザーは、「この野宿の状況が全国的に広がっている」と明らかにしました。
失業した東莞市の若者ら、コンクリートパイプを住居に
あるネットユーザーが19日に、広東省東莞市でコンクリートパイプの中で野宿している若者たちの動画を投稿しました。動画には、コンクリートパイプが2段に積み上げられ、1つのパイプには1人が横になれるスペースしかなく、中には衣類や日用品などが置かれ、住まいとなっている様子が映っています。
そこに訪れて動画を撮影した男性は次のように語りました。「東莞市長安鎮では多くの若いホームレスがコンクリートパイプの中で暮らしており、苦しい生活を送っている。彼らは一般的に「上層のパイプ」に住んでいる。なぜなら、『下層のパイプ』は湿気がひどいからだ。女性もそこに住んでいる」
動画では、コンクリートパイプの前の空き地に長いテーブルが置かれ、テーブルの上には食材や調理器具がたくさん並んでおり、若い男性が薪で料理をしている様子が映っています。動画を撮影した男性は、「本当に大変だよ、若者たちの出稼ぎ生活が大変だよ!」と述べました。
ペットボトル拾いで生計を立てる若者たち
中国の民生問題を取り扱う民間の権利擁護ウェブサイト「民生観察」の報道によると、最近、ネットユーザーが広東省東莞市の郊外で、失業者たちがコンクリートパイプの中で生活する様子を撮影した動画が公開されました。彼らは昼間にシェアサイクルで仕事を探しに出かけ、夜は大型のコンクリートパイプの中で過ごしています。その中には、仕事が見つからず、一時的に他人が捨てたペットボトルを拾い売りして、わずかな収入で生計を立てる人もいます。
ある若い男性は次のように語りました。「今は仕事が見つからず、収入がないので家賃を払うこともできない。だからここに一時的に住むしかない。昼間は近くの公衆トイレで携帯電話を充電しながら、電気炊飯器で食事を作っている。今日の昼食は煮込みラーメンだった」と述べました。
ネットユーザーは以下のようにコメントしています。
「若者たち(一部は大卒)が仕事を見つけられず、コンクリートパイプを家としている。今は全国どこでも同じ状況だ」
「メディアが報じなければ、ここ(コンクリートパイプ)に住むことは只でできるが、一旦報道されると、この場所での生活ができなくなるかもしれない」
東莞の企業、超薄給で29歳以上不採用
広東省東莞市はかつて「世界の工場」と呼ばれていましたが、現在は三洋、パナソニック、サムスン、ソニー、ベル、ノキア、キャノン、エプソン、シスコなど、数万人規模の大手工場のほとんどが撤退し、これにより多くの若者が失業し、就職難になっています。
東莞市で大手工場の採用が停止されたという動画がネット上に投稿されました。ある民間企業の採用担当者(女性)は、年齢が高くなると仕事を見つけるのが非常に難しくなっていると述べ、企業が2人を採用する予定だったにも関わらず、応募書類がなんと120通も届いたと明かました。29歳以上の応募者はすべて不採用とし、25歳以下は大卒であることが確認された場合のみ採用されます。「企業の採用は本当に冷酷だ」と彼女は述べました
別の動画では、東莞市の賃金が非常に低く、多くの若者が仕事を探している様子が映っています。時給が8元(約160円)しかないと聞かされた求職中の若者は、「8元で何が買えるんだ!」と怒りの声を上げました。
中国経済の急激な衰退と若者の就職難という社会状況に対し、北京在住のネット評論家である趙氏は、ラジオ・フリー・アジアとの取材で、「フォックスコンはみな徐々に中国から撤退し、富豪リストに載った国内の民間企業経営者も逃げ出し、中小企業の経営者はみなタンピン(寝そべり)している。北京では、今年卒業する修士号を持つ大学院生の人数は大学生を上回り、みんな仕事が見つからない状況だ。一世代の終わりだ」と述べました。
(翻訳・藍彧)