(Pixhere, CC0)

 イギリス・ロンドンには、かつて、幽霊がよく出るという家がありました。しかし、そのいわゆる「幽霊」は、意外にも生きている人間だったのでした。

 アイルランドに「体外離脱」ができるというある女性が住んでいました。彼女は霊魂の姿であちこち旅をすることができ、彼女にとってこれは日常的な行為でした。

 ある日、体外離脱した時、彼女は偶然に、ある家を目にしました。その家の外観のデザイン、建物の色、さらには部屋の内装やインテリアのどれもこれも、彼女は大変気に入り、何度もやって来てはその家を鑑賞し、見れば見るほど気に入りました。しかし、彼女にはその家の場所が分からず、ただひたすらその家を眺めるだけでした。

 その後、その女性は一家全員で、ロンドンに移り住み、新しい生活をスタートさせることになりました。一家が最初にやるべきことは「家探し」でした。そこで、彼女は夫と新聞広告の売り物件に目を通して探しました。すると、かなり値段の安い一軒家があり、気に入ってすぐに不動産屋に見学の申し込みを入れました。

 彼らがその場所に行って物件を見てみると、意外なことに、目の前のその家は、まさに女性が体外離脱するたびにずっと憧れていた家と同じであることに気づきました。女性はまるで宝物を手にしたように大喜びしました。

 喜びの余り、女性は好奇心をもって不動産屋に「こんなにいい物件なのに、なぜこんなに安く売られているのですか?」と尋ねました。

 すると、不動産屋は仕方なく「いい物件ではあるけど、よく幽霊が出る物件ですから、持ち主が急いで処分したくて、やむを得ず安く売っているのです」と答えました。

 この家は夢で思い描いていた家なので、訳あり物件だとしても、女性は気持ちが変わらず、すぐに持ち主にアポを取り、購入する準備をしようとしました。

 彼女が家の持ち主に会うと、持ち主は突然訝しげに「なんてこと!私が見た幽霊はあなただったのね!」と叫びました。

 なんと、家主が見たのは恐ろしい幽霊などではなく、この家を見るためにしばしば体から抜け出して来た女性の霊魂だったのです。その女性が家の中で「散歩」をするたびに、家主からはそれは恐ろしい幽霊現象に見えたという、笑ってしまうほどの不思議な話でした。

 「体外離脱」の現象に関して、多くの学者や医師は自ら体験し遭遇しており、さらにはこれを研究対象にしている人もいます。

 アメリカのカリフォルニア大学のチャールズ・タート博士は、体外離脱体験に関する科学的な実験を行いました。研究対象は、体外離脱の能力があると主張する健康な身体を持つ人たちでした。 

 タート博士は、自分の魂が体から離れることができると主張する、ある女性を対象に実験を行いました。タート博士は前もって体外離脱後に行う事を彼女に指示しました。タート博士はランダムに選んだ5桁の数字を印字したメモ用紙を、高さ2メートルの棚に置くことにしました。体外離脱でもしない限り、女性が紙に書かれた内容を見ることは不可能です。

 約束通り、彼女は魂が肉体に戻った後、紙に印字された数字を答えると、思いがけず、毎回正解でした。このような情況で、普通の人が毎回正しい答えを言い当てられる可能性は極めてわずかです。これによって、彼女は本当に魂を肉体から離脱させる超能力を持っていることが証明されたのです。

(翻訳・夜香木)