中国財政部がこのほど発表した2023年の年金調達状況によると、中国14の省で年金予算の赤字が発生し、不足額は2440.44億元(約4.8兆円)に達した。経済の低迷と人口の持続的な減少は赤字になる主な原因だという。
中国財政部が発表した2023年の年金調達状況によると、中国の14省で年金予算の赤字が発生し、不足額は2440.44億元に達した。このうち、遼寧省が不足額844.31億元(約1.65兆円)で首位になり、次いで黑龍江省が不足額829.32億元(約1.62兆円)で第2位となり、東北3省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)合計の年金不足額は1892億元(約3.7兆円)に達したという。
中国メディア「捜狐(そうふ)」によると、中国では毎年約2000万人の「60後」「70後」(1960、1970以降生まれ)が退職しているという。60歳以上の高齢者の割合は30%を超え、中国はすでに深刻な高齢化社会に入った。
公開された資料によると、中国には現在、1.3億人の退職者がいるが、8000万人が月額2600元(約5万円)以下の年金しかもらえない。4000元以上(約7.8万円)もらえる地域はチベット、北京、上海、青海省だけだ。多くの農村では、年金の平均受給額は190元(約3700円)しかないという。
深刻な高齢化に加えて、経済の低迷も財政赤字の主な原因の一つである。公開された資料によると、中国の7割を超える百貨店の純利益が前年同期比で大幅に減少した。業績の下落に加えて、中国の百貨店の閉鎖・倒産も常態化している。
江蘇省蘇州市は工業が非常に発達しており、その工業総生産額は4兆元(約78兆円)に達している。しかし、今年1、2月、蘇州の工業生産総額は11%、電力使用量は7%、対外貿易輸出額は19%減少した。一部の専門家によると、中国経済が最も好調な蘇州市ですらこのような状況になれば、他の地域なら、もっと惨めになるはずだという。
中国科学院は2019に、中国の年金は2028年以降に収支不足に陥り、2035年には底をつくと予測していたが、現在、14の省で年金の赤字がすでに発生した。
(翻訳・吉原木子)