4月5日は中国の清明節であり、伝統的な祭祀(さいし)などに関する話題が注目を集めています。中国の国家法律法規データベースによると、近年、多くの地域で、文明的な祭祀の推進や(伝統)習慣の変更、葬儀用品の製造・販売や葬儀中に冥銭の焼却・供養などの禁止政策が打ち出されています。しかし、この問題については、伝統的な葬儀や祭祀がなぜ一転して封建迷信的なものとされるのか、民間から疑問視の声が上がっています。
中国河北省米家務鎮の米北庄村は、「中国葬儀の第一村」として知られています。古くは明朝末期から清朝初期にかけて、紙花を作る民間の職人がおり、その製品は主に屋内装飾や花輪などに使用されていたそうです。1989年の統計によると、同地域の紙花の総生産額は387万元(約7500万円)に達していました。2022年の報道によると、北京から南に100キロメートル離れた米北庄村では、約3万人が葬儀産業に従事しており、わずか1キロメートルの通りには500軒以上の葬儀店があり、中国の葬儀用品の9割以上を独占し、年間の生産額は11億元(約2000億円)を超えています。
中国国家統計局のデータによると、中国の死亡者数は、2015年にわずかな減少を除いて、2013年から2019年にかけて右肩上がりを維持しており、2020年には約1000万人になると推測され、つまり、1分間に約19人、1秒間に0.3人が死亡していることになります。そのため、中国葬儀協会は、中国の葬儀業界の規模は2023年に1兆元(約20兆円)に達すると予測しています。
しかし、米北庄村の葬儀産業はこの予測通りに仕事が増えていないようです。地元の寿衣(じゅい)工場の啓東明工場長によると、以前は紙花の製造に携わっていたが、ここ数年の注文が大幅に減少したため、寿衣を専門的に製造するようになったそうです。数年前、市場通りにあった紙花製造工場が倒産し、その工場を倉庫として借り受けているといいます。「この産業は衰退している。葬儀の改革や環境保護の検査が私たちに与えた影響が深刻である」と啓東明氏が述べました。
なぜこのような状況になったのかについて、地元の紙花店のオーナーは、「聞いていけない質問だ。これらはすべて封建迷信だと言われているからだ」と率直に語りました。
いわゆる封建・迷信的な葬儀用品の販売禁止について、南昌大学法学院の胡可教授は、民俗に反するだけでなく、法的根拠も欠けており、単純化された行政措置であると考えています。胡可教授は、清明節で祖先を祭ることは中国の伝統文化の重要な一部であり、中国文化の重要な基盤の一つでもあると述べました。
胡可教授は、「迷信的な葬儀用品」という概念の定義に問題があるとし、「先祖を祭ることは数千年も受け継がれてきた文化である。冥銭を燃やすこと、爆竹を鳴らすこと、香を立てることなどの伝統も含まれている。これらの供養は、子孫が祖先を弔う象徴であり、祖先が後世を祝福してくれるようにという美しい願いも込められています。公序良俗(こうじょりょうぞく)に反するものではなく、封建迷信なものとして扱ってはいけない」と述べました。
また、華中師範大学文学院の熊威准教授は、祖先を祭ることに関する規定は、異なる文化や集団のニーズを考慮し、地域に合わせて柔軟に対応する必要があると述べました。例えば、花で先祖を供養する人もいれば、伝統的な儀式に傾倒する人もいるでしょう。
熊威准教授は、民俗文化は常に進化しているとし、清明節の核心は祖先を偲ぶことであり、形式はもともと多様であり、画一化する必要はなく、互いに尊重しあうことが大切であると述べました。
(翻訳・藍彧)