上海当局は経済を回復させるために、新たな24の投資促進施策を打ち出した。その中で、大規模な投資プロジェクトを誘致することが挙げられており、最高で1億元(約19.3億円)の賞与が支給される。また、外国企業が不動産を賃借または購入するプロジェクトについても、最高で1000万元(約1.93億円)の賞与が支給される。2か月前には、東莞市でも最高で1億元の賞与が投資家に支給する政策を打ち出した。このほか、福建省南安市でも、投資プロジェクトの紹介に対する報奨制度を実施することになった。

 中国の最も重要な中心都市である上海は外国資本を誘致するために、巨額の現金報奨を提供している。上海市政府は6日に、投資促進政策の新たな一連の措置を発表した。3つのパート、24の措置に分かれ、政策による引力で投資誘致の「強磁場」を構築し、ハイエンド資源と大型プロジェクトの集積を加速させることを目指している。

 広東省東莞市でも、「製造業を柱として実体経済の質の高い発展を推進するための若干の措置」を発表し、産業育成と企業発展に関する各種の奨励金、補助金が約15億元(約290億円)に達した。また、得られた利潤を再投資する外資企業には、最高1億元の奨励金を与えることができるとした。

 このほか、福建県泉州市、南安市はこのほど、「南安市企業誘致奨励措置」を発表し、南安市外の投資家を誘致し、投資者と現地委員会の承認を得ると、総投資額に応じて相応の報酬を受け取ることができるとした。投資額が3000万元(約5.81億円)以上5000万元(9.70億円)以下の場合、報酬は総投資額の千分の一となり、5000万元以上1億元以下の場合は、総投資額の千分の二の報酬が得られる。

 しかし、政府が巨額の現金で外国資本を誘致しても、楽観視できない人もいる。上海の外資企業の人事部で働いている周さんは、「3年間実施していた『ゼロ・コロナ』政策が原因で、多くの外資系企業がすでに本社を上海から移転した。コロナが発生する前、外国人が道端でコーヒーを飲んでいるのをよく見かけていた。しかし、今では多くのコーヒーショップが閉鎖している。(政府は)今、このような(報酬)措置で外資を引き戻そうとしている。以前は多くの住宅地に外国人が住んでいて、犬を連れて散歩している外国人の姿をよく見かけていた。今では、彼らが帰ってしまった」と述べた。

 周さんはまた、「上海はもう過去10年間のような繁栄期には戻れなくなっている。今は(中米)関係が悪化し、政策が不安定で、それが(外資企業)の投資決定に影響している。政策が不安定な環境で、誰がまだ投資に来ると思うのか」と嘆いた。

(翻訳・吉原木子)