北京市計画・自然資源委員会は3月末、『北京市集団土地住宅収用補償管理弁法』(以下、弁法)を公表し、「解体(中国語:拆遷チャイセン)」の代わりに「移転(中国語:搬遷ハンセン)」という言葉を使い、同時に住宅解体許可制度も廃止することを決めました。この関連ニュースはネットユーザーの批判を招きました。
中国の経済日刊紙「デイリーエコノミクスニュース」によると、『弁法』は、宅地の収用が住宅移転と金銭的補償によって補償されるべきであると明確に規定しており、収用された人はこれらの方法のいずれかを選択できます。
住宅移転対象者の条件を満たす者は、住宅移転または金銭補償を選択することができます。条件を満たす地域では、家屋を再手配して住宅を建設する方法も選択することができます。条件を満たさない者は、住宅移転対象のうち、金銭補償を実施する必要があります。
『弁法』は非居住用住宅の補償についても規定しており、金銭補償を採用すべきであると示しています。金銭的補償には、非居住用住宅の買い替えコスト、移転補助金、設備の移転および設置費用、業務停止による損失補償費用が含まれます。
北京市計画・自然資源委員会が発表した起草説明によると、『弁法』は土地管理法の要件に基づき、集団用地の家屋の「解体」を「移転」に変更し、家屋の解体(取り壊し)許可制度を廃止します。また、土地収用と家屋移転の同時実施を実現するため、集地移転補償制度を土地収用制度に盛り込み、各種補償制度や補償基準について住民の意見を広く聴取することを定めています。
収用される人々の合法的な権益を保護するため、『弁法』は「住宅移転」を主要な方法とし、移転先の住宅を優先し、移転先の住宅源が割当てるであれば移転期間をできるだけ短縮するように努めます。
民間のこの『弁法』に対する解釈は、公式の論調と大きく異なります。
不動産研究機関・易居研究院の厳躍進ディレクター(げんやくしん)氏は、「この規定はネットユーザーから多くの注目を集めており、一般的には『解体世帯をなくす』という概念として理解できる。もちろん、文字通りの意味で、解体するという意味の「拆遷(チャイセン)」 は取り壊しという行為をより強調し、移転するという意味の「搬遷(ハンセン)」は再定住という機能を強調しており、こうした表現には民を重視する志向も反映されている」と指摘しました。
厳躍進氏は、「解体(拆遷)」から「移転(搬遷)」への変化には、背後にある主導権の変化があると考えています。「解体(拆遷)」の実施主体は地方政府であり、「移転(搬遷)」の実施主体は市民や集団経済団体です。
ネット上では、中国の公式が常に薬を煎じる水は換えても薬は換えず、つまり、形式は変わっても中身は変わらないと、批判するコメントが殺到しました。
「北京が家屋の『拆遷(解体)』を撤廃し、『搬遷(移転)』とすることを発表した。一字変更で、意味が全く変わる」
「解体(拆遷)には補償金があるが、移転(搬遷)にはない。自主的な引っ越しか?」
「これからはゼロコロナがなくなり、全域静態管理という。これからは独裁者がなくなり、民主化の全過程という。これからは主席がなくなり、一尊(一体の仏)という。これからは憲法がなくなり、習思想という……」
「問題を解決する方法は名前の変更か」
「憲法はこれからないのではなく、元々なかったのだ」
(翻訳・藍彧)