中国ではこのほど、大勢の若者がお寺にお参りに行く現象が注目されている。若者がお寺へ線香をあげに行くのは、信仰のためではなく、厳しい現実の前で、心の慰めを求めているとの見方がある。
中国の旅行サイトのデータによると、2023年以降、各地のお寺のチケット予約数は前年同期比で3倍以上増加し、2月以降、チケットを予約した人のうち、90後、00後(1990、2000年以降に生まれた人)が50%近くを占めているという。
2019年と比べれば、SNSでの「お寺」の検索数は368倍増加した。また、今年1月1日から3月16日までの「お寺」の検索指数は、前年同期比586.81%上昇してた。このうち、18 ~ 30歳の若者は約30%から44.9%に増加したことが分かった。
重慶大学の学生である王さんは27日、大紀元とのインタビューで、香を焚いて拝むことは、若者が生活の不安を和らげる最もポピュラーな方法になっている。なぜなら、中下位層の若者はますます悲観的になるからだ。希望を見出せず、どんなに努力しても何も変わらない。高学歴でも仕事を見つけられない可能性があるため、絶望的になっている」と述べた。
中国公式の統計データによると、2022年には大学の卒業生が1,076万人に達したが、同年11月までにまだ7割以上の大学卒業生が就職できていないという。雇用状況は厳しく、大学生は卒業後、就職できない苦境に陥っている。更に、2023年には、大学卒業生の数が過去最高になることが予想され、1,158万人に達する見込みだ。
カナダ在住の中国系作家の盛雪氏は、「若者たちは最も活気に満ちているが、彼らが希望や目標を持てない時、彼らは何をすることができるのか?お寺に向かって、お香をあげ、仏に祈ることしかできない。しかし、中国では真の信仰の自由がないので、心の慰めを求めているだけだ」と述べた。
(翻訳・吉原木子)