「未来を予測する」。これは映画作品で長らく人気の話題です。しかし、現実を生きる一般人でも時折、「未来予測」ができてしまうことがあるのです。
英紙『デイリー・メール』の報道によると、1913年、イギリスの12歳の少年は2000年の生活を想像する作文を書きました。その作文は、飛行機の普及をはじめ、多くの現代の科学技術に言い当たっています。作文自体は少年の夢の中の様子だったかもしれませんが、その夢が未来である今では現実になったのです。
若い予言者の名前はエドガー・コドリング。イギリスのノーフォーク州に住んでいました。1913年、12歳のエドガーは遠い未来に心を向け、2000年の生活に対する「予言のリスト」を作文に綴りました。
学校の先生から出された課題として、エドガーは作文で「2000年に、自転車が手ごろな価格で買えるようになるであろう。飛行機は自動車と同じくらい一般的になり、商業目的でもレジャー目的でも空を飛び回るようになるであろう。新聞も非常に安くなるであろう」と描きました。この作文の得点も「Good」でした。
実は、現代の科学者は、誰もが未来を予測する能力を持っていると考えています。
2011年、米ワシントン大学の心理学准教授であるジェフリー・M・ザックス(Jeffrey M. Zacks)博士とその研究チームは、一連の実験プロジェクトを通じて、日常的なことを予測する脳の不思議な能力を明らかにしようと試みました。
これは占いでも迷信でもありません。この研究は初期の精神失調症、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患で苦しむ患者を助けるのに役立つと、同大学はプレスリリースで説明しました。主な理由としては、これらの疾患では、患者が正常的な意識以外の異なる意識からのメッセージに妨害され、精神障害を引き起こすことが多いからです。
ザックス博士は、健康な若いボランティアを対象に実験を行いました。被験者は、洗車や洗濯、レゴの模型作りなど、日常的な出来事の動画を視聴します。動画はしばしば一時停止されます。一時停止する間、被験者に、5秒後に動画再開の時に何が起こるのかを、イメージ画像を選び、予測してもらいました。
動画が一時停止されるタイミングは2パターンがあります。1つ目は、ある出来事が終わり、次の出来事が始まる前であり、2つ目は、ある出来事の途中です。
その結果、被験者は、現在進行形で起きている出来事に対する未来予測では、90%以上の正解率を示したのですが、出来事を予測する境目、つまり、まだ起きていない出来事に対する予測では80%未満の正解率で、被験者たちは自分の予測に対する自信もあまりなかったのです。
ザックス博士は、「出来事の境目を越えて未来を予測することはより困難だ。彼ら(被験者たち)は難しいと認識していた。動画が一時停止されるとき、被験者の予測の誤差は急増した。つまり、次の予測が間違っている可能性があることに気づき、自信が動揺されるようになった。彼らは、『次に何が起こるか、私は本当にわかっているのか?』と思うようになった」と述べました。
研究者は、予期せぬ事態が発生したときに脳外に情報を提供できる、脳の真ん中にあるドーパミンシステム(MDS)を研究しました。機能的磁気共振画像法という手法を用いて、被験者の日常生活のデータを記録しました。ザックス博士は、「直近の出来事を予測することは、行動を導くために極めて重要であり、予測的感知や言語処理、理論学習の重要な要素なので、より遠い未来の物事を予測するには大いに役に立つと考えられる」と語りました。
(翻訳・清水小桐)