中国の人権問題に長く関心を寄せてきた米国作家・ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏は4日午後、東京で中国共産党による生体臓器収奪問題に関する講演会を開催しました。
ガットマン氏は1998年から2001年まで中国で働いていました。1999年7月に中国共産党が法輪功学習者への弾圧を始めた後、天安門広場で平和的に抗議していた法輪功学習者が中国共産党警察によって残忍に殴打されるのを目撃したことがあります。
ガットマン氏は米国に戻った後、法輪功学習者が中国の刑務所で迫害されていることを知ったとき、理解できない不思議な現象に気づきました。それは、多くの法輪功学習者が刑務所で健康診断を受けているが、健康診断の内容は不可解であるということです。例えば、目の検査で、医師は法輪功学習者の視力や斜視の有無などを検査せず、目の組織の状態を長時間観察していました。中国共産党の迫害を受けた多くの法輪功学習者に接触した後、ガットマン氏は、中国の医師が法輪功学習者の身体組織と臓器が臓器移植に適しているかどうかを確認していることに気づきました。その後、大量の調査を経て、中国共産党が生きたまま臓器収奪を行っている確実な証拠を入手し、それをまとめた本『臓器収奪 ― 消える人々』を出版しました。
4日午後の講演で、ガットマン氏はまず、中国共産党の生体臓器収奪のいくつかの主要な段階を年代順に紹介しました。
ガットマン氏の紹介によると、中国共産党は1980年代に囚人から臓器を収奪し始め、1994年に新疆ウイグル自治区のウルムチ地区で初めて生体臓器収奪の目撃証言があったといいます。
1999年に法輪功への迫害を開始した中国共産党は2001年に、当時強制労働収容所に収容されていた200万人の法輪功学習者を対象に血液検査を行い、臓器移植に適合した人に対して生体臓器収奪を行いました。
2007年には、中国で行った臓器移植手術の数は年間1万回に達しました。
2012年には年間6万回以上の臓器移植手術が行われていました。
2014年には、中国警察は臓器組織のマッチング用として、全国の法輪功学習者から血液とDNAサンプルを採取しました。
2016年、中国共産党は1000万人の新疆ウイグル人から強制的に血液を採取しました。しかし新疆の漢民族は除外されました。その後、2017年には新疆ウイグル自治区に100万人収容できる収容所が建設されました。そこに収容されているウイグル人は2ヶ月に1回健康診断を受けていたのです。
2017年、新疆ウイグル自治区内の複数の空港に臓器輸送の優先通路が設置されました。ガットマン氏は、これらの優先通路はすべて一方通行となっており、つまり、新疆から輸出されるのみとなっていることに気づきました。すなわち、新疆から国内各地に大量の臓器が輸送されるが、新疆に臓器が輸送されることはありません。
2018年、中国共産党政権は新疆ウイグル自治区内に新たに9つの火葬場を建設する命令を下しました。
ガットマン氏は、中国共産党による臓器収奪の主な段階を紹介した後、中国新疆ウイグル自治区のアクソ市を例に、中国共産党が生体臓器収奪のために同自治区内に建設した刑務所や様々な付属施設について詳しく紹介しました。海外に逃亡したウイグル人の証言から、ガットマン氏は、平均年齢28歳のウイグル人約35,000人が毎年、生体臓器収奪されていると推測しています。
ガットマン氏によると、中国共産党政権は、法輪功学習者に対して行った迫害方法を、ウイグル人への迫害に全面的に適用しており、その中には生きたまま臓器を収奪することも含まれていると述べました。
ガットマン氏の講演が終わった時、ある聴衆の発言が衝撃的でした。彼は、中国新疆ウイグル自治区の出身で、一部の友人や隣人が中国共産党によって死刑執行された後、遺族が故人の顔を見るしかできず、遺体を回収することが拒否されたと述べました。当時は理解できず、ただおかしいと思ったそうです。日本に来てから、中国共産党が生体臓器収奪している罪悪を聞き、若いころの新疆でのこうした体験を思い出し、それらの死者(友人や隣人)は生きたまま臓器収奪されたのではないかと疑ったといいます。それを聞いたガットマン氏は、きっとそうだと答えました。
講演会が終わった後、ガットマン氏は記者団に対し、中国共産党の生体臓器収奪を制止するために、アメリカはすでに多くの努力を払ってきており、日本社会もそれを止めるための行動を起こしてほしいと述べました。
(文・黎宜明/翻訳・藍彧)