中国の軍兵員輸送車(SFT HQ (Students for a Free Tibet), CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)

 中国全国人民代表大会(全人代)のウェブサイトが2月24日夜18時42分に突然、軍隊の戦時に関する『中華人民共和国刑事訴訟法』の一部規定の適用決定を盛り込んだ戦時法案を発表した。

全文は以下の通りである。

 第13期全国人民代表大会常務委員会第39回会議は、第20回党大会の精神を貫徹し、中国の特色ある軍事法治体系を完備し、人民軍隊が新時代の使命と任務を効果的に履行し、勝利する能力を向上させることを法律の面から保障するために、次のように決定した。「中華人民共和国刑法」、「中華人民共和国刑事訴訟法」が定めた基本原則、基本制度、基本手続きに従い、戦時における刑事訴訟の特徴に適応し、訴訟当事者の合法的権益を保障し、司法の公平と正義を守る。『中華人民共和国刑事訴訟法』の管轄、弁護と代理、強制措置、立案、捜査、起訴、裁判、執行などに関する一部の具体的な規定を調整して適用することができる。中央軍事委員会は詳細を規定する。

 特に注目されるのは、会議当日(24日)に同法案が可決され、翌日の25日に発効したことだ。

 中共が急いで打ち出したこの法案は、中共軍が戦時中に展開した刑事訴訟に対して、中共中央軍事委員会が適切な調整を行うことができると強調している。

 中共中央軍事委員会の主席は習近平総書記であるため、すなわち、同法案は、習氏に戦争中に刑法や刑事訴訟法を勝手に利用できる特権を与えたと言えるだろう。

 米国のジャーナリストである李沐陽氏は、「同法案の可決は、中共が全国で随時に軍事管制を実施でき、中華民国(台湾)を攻撃することを意味している」と述べた。

 また、中国東部沿海各省の「国防動員弁公室」が最近動き始めている。同弁公室は、防空基地や新兵訓練基地の建設だけでなく、生産にも責任を持っている。これに対して、ジャーナリストの江峰氏は東部沿海の各省で戦争準備を急いでいると述べた。

(文・黎宜明/翻訳・吉原木子)