イギリスの元財務大臣フィリップ氏(Chatham House, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)

 中国公式メディア「チャイナ・デイリー」紙はこのほど、ある記事をでっち上げ、イギリスの元財務大臣フィリップ・ハモンド卿が書いたものだと嘘をついた。フィリップ氏は苦情を申し立てており、記事はすでに削除された。

 フィリップ氏の事務室は同情報を右派メディア「ブライトバート・ロンドン」に暴露した。

 「チャイナ・デイリー」が捏造したフィリップ氏の記事は先週、「UK, China should focus on common interests(英中は共通の利益に焦点を合わせるべきだ)」と題して、掲載した。記事にはフィリップ氏が今月初めにロンドンで行った中英経済関系拡大に関する講演で発表した評論が混ざっているが、主な流れは完全に捏造されたものだ。

 フィリップ氏の事務室は声明で、フィリップ・ハモンド卿は中英経済関系拡大について講演したが、チャイナ・デイリーに記事を投稿したことがない。率直に言えば、フィリップ氏の話をコラムのように掲載したのは変だと思う。早速苦情を申し立てたので、今はちゃんと直してもらったと述べた。

 中国公式メディアの捏造は今回が初めてではない。「人民日報」の英文サイトは2019年2月18日に、「We Need to Learn to Listen to China(私たちは中国に耳を傾けることを学ぶ必要がある)」と題したジェニー・シップリー元ニュージーランド首相の署名のある記事を掲載した。記事の中には、中国共産党の「一帯一路」計画を大いに謳っている。同記事が掲載されると、ニュージーランド国内で批判が巻き起こった。その後、ジェニー・シップリー氏は「この記事は自分が書いたものではない。昨年(2018年)12月末に、別の中国メディア『チャイナ・デイリー』とのインタビューを最後に、中国メディアとのインタビューに応じていない」と明らかにした。

(翻訳・吉原木子)