中国の幼稚園の様子(Pixabay License)

 中国の出生率の低下によって、中国各地の私立幼稚園は経営難に直面している。多くの幼稚園が3~5年以内に閉園するだろうと業界関係者は見ている。

 香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の報道によると、出生率の低下により、幼稚園への入園者数も次第に減少している。これらの幼稚園は、国からの十分な資金援助を得られないだけでなく、厳しい審査を受けており、最も危ういところにあるという。

 広西省容県で私立幼稚園を運営している劉さんによると、5年前、幼稚園を開設した時、140人の児童が入園したが、2020年には入園した児童は30人しかいなかったという。

 劉さんは新型コロナウイルスの影響だと考えていたが、昨年末に中国当局が厳しい防疫制限を撤廃した後も状況は改善されていない。劉さんは、この幼稚園のために数百万人民元も投資したが、まだ収支のバランスが取れておらず、財務危機に直面しているため、閉園を検討しているという。

 中国で最も人口の多い都市・上海市でも、私立幼稚園が影響を受けている。二人の子供のいる上海在住の王さんは、「息子が通っていた幼稚園は、2015年から2018年までは7つのクラス(組)があったが、娘が入園した2021年には4つのクラスになり、クラスの人数も少なくなった」と語った。

 昨年10月、中国の教育研究機関「奕陽教育研究院」が発表した報告書によると、2020年、中国の幼稚園数は29万1700園で、在園児数は4818万2600人で、粗就園率が85.20%とピークに達しているが、2021年は幼稚園数が29万4800園で、在園児数が4805万2100人で、粗就園率が88.10%になった。今後は例え粗就園率が100%に達し、つまり、全ての適齢の児童が幼稚園に入園できたとしても、出生率の低下の衝撃により、2025年~2030年の間、在園児数は2500万人まで急落すると予測される。この推移で進行すると、今後の10年間、在園児数に比例する幼稚園数は、2020年に比べて30~50%も減少する可能性があるという。

 また、南開大学経済学院の人口専門家の原新氏は、過去数年間、中国当局は出産を奨励する政策を実施してきたにもかかわらず、人口減少の傾向を覆すのは困難だと述べた。

(翻訳編集・吉原木子)