屋那覇島のカラー空中写真(National Land Image Information (Color Aerial Photographs), created by Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism, distributed by Geospatial Information Authority of Japan, Attribution, via Wikimedia Commons)

 中国山東省出身の女性ティナ(34)は3日、SNSで動画を投稿した。動画では、ティナが3年前購入したという、沖縄県島尻郡伊是名村に属する無人島・屋那覇島(やなはじま)を訪れた様子が映っている。ティナは同島の所有権を得、「女性島主」になったと称した。

 メディアの報道によると、ティナは動画で、「この島は面積が70万平方メートルで、島を歩き回るのに徒歩4時間かかる。入札を開始した時の価格はおよそ60万元(約1100万円)だった」と述べた。コメント欄に上がった多くの質問に対して、ティナは「実際の落札価格は入札当初の価格の百倍以上高くなり、しかも米ドル建て。詳しい数字は控えたい。今後は私用に、もしくは協力会社と一緒にリゾート開発に使用する予定」と答えた。

 事件は多くの議論を呼んだ。屋那覇島は、安全保障上、重要な土地の利用を規制する「重要土地等調査法」の対象区域ではないが、米軍基地を擁する沖縄本島を見下ろす位置にあるため、ティナの買収が事実であれば、中国政府系企業への転売の可能性もあり、経済安全保障や地政学的な観点からの懸念が広がる。

屋那覇島(赤矢印が示している)の位置(沖縄諸島内)(Own work, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 また、「中国共産党(以下、中共)の『国防動員法』と『国家情報法』により、有事の際に軍事動員が可能になるほか、戦時と平時問わず、中国人は中共政府の情報収集工作への協力が強制されている。そのため、緊急事態になる場合、中国人の所有する財産も中共の情報機構や軍事施設に徴用されてしまう。日本の国土安全への脅威は多大なるものだ」とのコメントも上がった。

 一方、10日の定例会見で、松野官房長官は屋那覇島買収について、「屋那覇島は領海基線を有する国境離島または有人国境離島地域離島に該当するものでないことから、本法(重要土地等調査法)の対象とはならない」と述べ、「調査を行い、実態把握を進める考えだ」とも述べた。

(翻訳編集・常夏)