米軍が中国偵察気球を撃墜した事件は議論を呼んでいます。中華民国(台湾)外交部(外務省)は6日、中国が台湾海峡で軍用機や軍艦による挑発行為を繰り返し、他国の主権領土・領空を侵犯していることは、台湾も同じ思いをしており、国際社会から非難されるべきだと述べました。
米国の対応
ブリンケン米国務長官は5日から6日、北京で会談を予定していました。実現していれば米外交トップによる5年ぶりの訪中だったが、気球の飛来で米当局者は現段階での訪中は誤ったシグナルを発することになると判断しました。
ブリンケン長官は3日の記者会見で、中国の外交トップである王毅氏と電話会談を行い、「この偵察気球が米国領空にあることは、米国の主権と国際法の明らかな侵害」だと明確に伝えたと発言しました。「米国本土の上空に偵察気球を飛ばすという中国の決定は容認できないばかりか無責任にほかならず、中国訪問の目的を損なう状況を生じさせた」と説明しました。
ブルームバーグによると、米軍は5日(現地時間4日)に東部サウスカロライナ州沖で撃墜した中国の偵察気球の回収作業を進めているとのことです。中国共産党の態度も絶えず変化し、全面否定から「民間のものである」とかわし、そして報復の可能性の脅しへと発展してきています。
米国務省は6日、ブリンケン米国務長官が中国偵察気球事件で中国訪問を取りやめた後、訪中の再調整について両者の間に対話はないと発表しました。
台湾も中国の侵犯を受けており、共感している
台湾民進党の立法委員(日本の国会議員に相当)の王定宇氏は、政論番組「新台湾加油」で、「この事件の影響は非常に大きい。気球1つでこれまでの米国安全保障局のすべての宣伝に勝る。なぜアメリカは激怒しているのか。アメリカ国民は自国での事件が起きることを最も嫌うので、アメリカはこれを報復するだろう」と述べました。
中台関係に詳しい台湾大手シンクタンクの董立文諮問委員は、「前進新台湾」の番組で、米軍が気球を撃墜した「時間軸」を深く分析し、「全体の過程は非常におかしいのだ」と述べました。董氏は、「1月28日に気球がアラスカに入った時点ですでにアメリカ側に発見されていたが、アラスカとカナダの無人区を通過しても『米国は処理しなかった』。アメリカ本土への漂流や軍事拠点上空までの飛行を許し、2月4日に海を出たところで撃墜された。アメリカが気球を人目にさらすことを選んだのは、頭上に生々しい中国共産党の脅威があることを国民に示すためだったのだろう」と語りました。
中央通訊社によると、中華民国外交部は4日、中国共産党が台湾海峡、東シナ海、南シナ海の各グレーゾーンで軍用機や艦船による挑発行為を繰り返すように、国際法を違反し他国の領空や主権を侵害する行為は危険かつ不適切であり、台湾は共感していると指摘しました。中国共産党の行為は国際社会から非難されるべきものです。台湾外交部(外務省)は、今回の事件は中国共産党が世界中で情報収集を行おうとしている野心を浮き彫りにしたものだと強調しました。
一部のメディアが、まず中国気球の他国空域への侵入に軽く触れてから、米国の警戒をあざ笑い、さらに米国が気球を撃墜したことを「損をしたショーだ」とまで言い、その姿勢や論調は中国共産党系メディアと同じで、台湾が挑発的な脅迫を受け続けていることをも無視し、信じがたいことだと、台湾外交部が指摘しました。
台湾外交部は、このような悪意ある発言が国際情勢の正しい理解に影響を与え、中国共産党の認知戦争の罠にはまらないよう国民に呼びかけています。独裁的な政府の様々な危険な行為は、国際社会の平和を脅かしており、民主主義国はこれに警戒しなければなりません。
(翻訳・藍彧)