ロシアのメディアは先日、中国共産党の習近平総書記が今春にロシアを訪問すると報じました。
習氏、ロシアのウクライナ侵攻中にモスクワを訪問予定
ロシアの通信社「スプートニク」1月30日の報道によりますと、ロシア外務省は、習近平総書記が2023年春にロシアを訪問し、ロシアと中国の関係における最優先事項になると発表しました。
習氏の訪問は、2023年の二国間アジェンダの「中心的イベント」になるだろうと報じました。しかし、ロシア外務省は、習氏のロシア訪問の日程を具体的に言及していません。
ロシアメディア「ガゼタ」によりますと、中国外交担当トップの王毅(ワン・イー)氏は2月20日にモスクワを訪問するとのことです。習近平のロシア訪問に道筋をつけるためと考えられます。
英国紙「インディペンデント」1月31日の報道によると、習氏はロシアのウクライナ侵攻1周年前後にモスクワを訪問する可能性が高いと報じました。プーチン大統領の対ウクライナ侵攻は2月24日で1周年を迎えます。
ロシアのウクライナ侵攻について、中国共産党が公式にロシアを非難したことは今のところありません。国際的な対ロシア制裁の下で、中国共産党は水面下でプーチン氏に支援を与えていると指摘されてきています。両国はエネルギーや貿易など多くの分野での協力関係を重ねて表明しまた。
中露同盟の影響
台湾の国立政治大学国際関係研究センターの宋国誠研究員は1月31日、大紀元に対して、「習氏は今、絶えない内部危機を覆い隠すために外部資源を求めている。(習氏は)アメリカとの関係を改善したいと言いながら、プーチン氏と会談しようとしており、矛盾している。これは、国際社会の信頼を高めることにも、内政の危機を隠蔽することにもならない。これは出口の見えない末路で暴走する現象である」と述べました。
米外交問題評議会のシニアフェロー(中国研究) であるイアン・ジョンソン氏は1月31日、ボイス・オブ・アメリカに対し、中国共産党のこの動きは、ロシアを支援することで民主主義国が支配する現在の世界秩序を打破しようとするものだと指摘しました。
「北京の春」の陳維健編集長は1月31日、もし習氏が本当に訪露すれば、それは(中国共産党が)米国と正式に対決することを意味すると分析しました。中国共産党政権全体と西側との対立は今やもはや挽回できないが、対立の過程において、西側は依然として中国と貿易や技術の交流をしており、デカップリングしない状態での対立となります。しかし、習氏がロシアを訪問し、中露同盟に関する声明を発表し、ウクライナを侵攻するロシアを支援する姿勢を示せば、西側との「完全なデカップリング」の可能性も出てくる事になるでしょう。
メディア関係者の黎宜明氏は、中国の秦剛新外相が最近、米国に示した友好的な態度は一時しのぎのものにすぎず、中国共産党政権と米国との対立は、全人類を支配するという共産党の究極の目的からして避けられないと指摘しました。
かつて70年以上にわたって共産主義政権に支配されたロシアは、形式的には民主主義体制を確立したが、ロシア人の頭の中には、多かれ少なかれ共産党の思想が残っていると黎宜明氏は考えています。そのため、中国共産党とロシアのプーチン政権との間には、ある程度の同一性(アイデンティティー)があるのです。現在、中国共産党もプーチン政権も危機的状況にあり、それぞれの政権を存続させるためには、両者の協力は必然的であるのです。そして、中露の同盟は世界の政局に大きな影響を与え、特にアジアでの戦争勃発の可能性をより高めることになります。
(翻訳・藍彧)