(左)稲(Pixabay, Pixabay License)、(右)米ぬか(Phu Thinh Co, from flickr, CC BY-SA 2.0

 複数の専門家と学者は昨年から、中国が食糧危機に陥る可能性があると懸念してきた。中国衛生健康委員会はこのほど、珍しく「米ぬかを食べる」ことを支持すると表明した。中国国内で広く話題となった。 

 米ぬかとは、米を精白した際に出る果皮、種皮、胚芽などの部分のことで、搾油のほか、動物の飼料にも使われる。昨年3月、中国全国人民代表大会で、全人代代表は「米ぬかを国民の食卓に戻すことを促進しよう」という提案をし、米ぬか製の食品を発展させることで「国民の栄養バランスに貢献」ができると述べた。 

 中国国家衛生健康委員会は19日、公式ウェブサイトで同提案に対する肯定的な回答を発表し、「米ぬか産業」を発展させるべきで、「米ぬかの栄養価値の発掘」は、「食料浪費の減少と国民の栄養バランスと健康への貢献」に有利だと述べた。 

 これに対し、多くの中国人は、「中国が(飢えをしのぐために)ぬかや雑草を食べる時代に戻るのか」と懸念している。一部のネットユーザーは、「米ぬかは大飢饉の時に仕方なくご飯として食べるもので、よく考えると恐るべき提案だ」、「米ぬかの栄養を論証し始めたなら、木の皮、草の根、カオリナイトを食べるのはもう遠くない」とコメントした。 

 中国の食糧危機は2年前からすでに注目されてきた。中国国務院の2019年末の報告では、中国の耕作可能な農地が継続的に減少しており、過去10年間中、約8%の減少が認められた。また、近年は収獲期に絶えず水害に見舞われ、昨年にいたっては記録的な干ばつと水害に同時に遭遇したため、食料供給がさらに深刻な影響を受けた。しかも、3年間持続していた「ゼロ・コロナ」政策で、農家は家の中に閉じ込められて畑を耕すことができなかった。昨年から、専門家や学者が絶えず警告をしていただけではなく、習近平総書記もこの危機を認め、「食料安全保障は最も大事なこと」「食料安全保障の主導権をしっかりと握る」と何度も強調した。

(翻訳・吉原木子)