ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席(69)が17日、辞意を表明した
ベトナム共産党中央委員会は17日、グエン・スアン・フック国家主席の辞任を承認した。
ベトナム共産党は声明で、フック氏のリーダーシップを称賛したが、副首相2人を含む多くの部下らの違法行為について政治的な責任があると説明した。国家主席などの高官が任期満了前に辞任・退陣するのはベトナム共産党政権にとって、極めてまれなことである。
ベテラン・ジャーナリストの矢板明夫氏は18日、「ベトナムでクーデターが起きたと断言できる。親米路線をとっていたフック氏がクーデターで失脚したことで、次の政権が親中路線に移行するかどうかはまだ観察する必要がある」、「今回のクーデターの主な背景を考えると、77歳のグエン・フー・チョン書記長が数年以内に引退するため、69歳のフック氏が書記長に就任する可能性が最も高かった。しかし、保守派は改革派に最高権力を委ねたくない」との見方を示した。
「フック氏と共に退陣したのは、副首相2人と大臣3人など複数の閣僚だ。そのほとんどが『改革派』と呼ばれる政治家たちだ。この権力闘争で勝利したのは、グエン・フー・チョン書記長を中心とする『保守派』だ」
矢板氏は、また「昨年10月に閉幕した中国共産党第二十回全国代表大会で『改革派』と言われる李克強(り・こっきょう)氏、汪洋(おう・よう)氏、胡春華(こ・しゅんか)氏らが権力の中枢から追放され、習近平を中心とする『保守派』が大勝した。同じようなことは3か月後ベトナムでも起こった」、「グエン・フー・チョン書記長が昨年10月末、中国共産党第20代共産党大会後、初めての外国指導者として、北京に訪問した際に習近平総書記と会談し、習氏から友誼勲章を授与された。グエン・フー・チョン氏は改革派にどう対処するかを習氏と相談し、習氏の支持を得たのではないか」と述べた。
「ミャンマーでは2年前に軍部がクーデターを起こし、民選政府をつぶした。クーデターが発生する前に、ミャンマーの軍首脳部は中国の王毅(おう・き)外相とも会っていた。ここ数年、アフガニスタン、ミャンマー、ベトナムなど中国周辺のいくつかの国の情勢に大きな変化が起きた。北京は裏でかなり多くの『仕事』をしたという噂があった」
(翻訳・吉原木子)