米国のシンクタンクである外交問題評議会(CFR)傘下の防止行動センター(CPA)は最新の報告書で、中国共産党(以下、中共)当局は台湾への侵略を強化しており、台湾海峡の衝突は3年連続で世界の潜在的衝突の中で最高レベルとなっているほか、米中露の軍事対立のリスクも高まっていると指摘した。
台湾国営通信社である中央社の報道によると、外交問題評議会は5日(米国現地時間4日)、年次報告書「2023防止優先順位調査」を発表したという。同報告書は「過去1年間の世界情勢は揺れ動き、ロシアのウクライナ侵攻により、ヨーロッパでは数十年ぶりに最大規模の戦争が起こった。米中関係も台湾を巡って一層緊張し、多国間の武力衝突が激化するリスクが高まりつつある」と書かれている。
同報告書では、発生確率が中程度で、米国の利益に深刻な打撃を与える第1級(最上位)レベルのリスクは7項目あり、トップ1は台湾海峡の危機であると指摘した。「中共の台湾に対する軍事的脅威の高まりは、アメリカとこの地域のほかの国々にも、深刻な危機を引き起こすだろう」
同報告書によると、米中対立の激化につれ、台湾海峡の危機は2019年に初めて報告書に含まれ、第2級レベルのリスクに分類されていたが、2021年には第1級レベルに引き上げられ、今年は3年連続で最高レベルになったという。
残り6つのリスクはそれぞれ、ロシア・ウクライナ戦争がエスカレートし、北大西洋条約機構(NATO)加盟国も参戦すること、サイバー攻撃は米国の重要インフラを深刻に麻痺させること、ロシアの民衆は戦争に疲れ、経済情勢の悪化は社会不安を招くこと、北朝鮮の核兵器と長距離弾道ミサイルの開発と実験が北東アジアの安全保障に深刻な危機を引き起こすこと、イスラエルとイランが軍事的に対峙すること、中央アメリカとメキシコの政治・経済情勢が悪化したことで、大量な移民が米国に入ることである。
防止行動センターのポール・スタイルズ(Paul B. Stares)センター長は、「米国の利益を守り、中共あるいはロシアとの衝突を避けるためにバランスをとることは、米国政府にとって、今年最も重要な挑戦になる」と述べた。
(翻訳・吉原木子)