ビジネス王であり、トゥモロー・グループのオーナーでもある肖建華は、今中国本土で捜査を受けている。その前、香港の5つ星ホテルである「フォーシーズンズホテル」(Four Seasons Hotel)に長い間住んでいた。
同ホテルは億万長者の隠れ家として有名であり、肖建華よりも有名な某億万長者も住んでいるとの指摘もある。逃亡者が安全に帰れる日まで落ち着いて北京と向き合っていられることから、同ホテルには「北向き見張り塔(north facing watchtower)」というニックネームがついているほどだ。
香港フォーシーズンズホテルは、カナダに本部を持つラグジュアリーホテルのチェーンである。同ホテルは399のゲストルームと55のスイートルームを有しており、ほとんどの部屋から180度パノラマでビクトリアハーバーを一望できる。スイートの価格は1泊当たり1,300ドル~9,000ドルであるが、 価格は部屋と時期次第で変動する。また、同ホテルには長期滞在者のためのプランもあり、その値段はなんと1日当たり6,400ドル~26,000ドルだ。ここに滞在する億万長者にとってはハシタ金程度の金額ということだろう。
香港・マカオ間のフェリーターミナルから徒歩10分、そしてエアポート特急のすぐ隣に位置する同ホテルは、まさに億万長者たちのホームだ。彼らはここで、中国本土で行われている捜査の監視や、自らが関与する事件の行方について情報収集を行っているのだ。
政権の座に着いて以来、 習近平は汚職追放に血道をあげており、それが中国本土の億万長者たちを震え上がらせている。取り調べに関するわずかな兆候を見つけ次第、 彼らは調査や尋問を逃れるため香港のフォーシーズンズに飛び、そこで捜査が終結するのを待つようになった。
現在同ホテルを隠れ家として利用する億万長者は肖建華のみであるとのことだ。しかしながら、前中央銀行総裁の婿である车峰や佳兆業集団CEO郭英成も同ホテルを利用しているとされる。
このホテルでは、同郷出身の金持ちが同時にチェックインするという変わった光景が見られる。彼らはホテル内のレストランで偶然会うと、お決まりのように 「君の事件はどうなった?」 とあいさつを交わすそうだ。「本土での捜査が集結するまで、確かなことは何もない。」心の中でそう感じているからこそ、彼らは今日もホテルから観察を続ける。
(翻訳・今野秀樹)