歯磨きは、毎朝の口腔衛生のために欠かせない習慣です。朝食前の歯磨きに慣れている人もいれば、食後の歯磨きに慣れている人もいると思いますが、どちらがより効果があるのでしょうか?この問題について、歯科の専門家でも意見が分かれているそうです。この2つの習慣にはどんな効果があるのか、それぞれご紹介します。
朝食前に歯を磨く
朝起きると、どうしても口臭が気になりますね。口の中の細菌がいかに活発になっているのかは想像がつくでしょう。朝食にパンやシリアル、ビスケットなどを好んで食べる人は多いと思いますが、これらの食べ物には細菌の好む発酵性炭水化物が含まれています。朝食前に歯を磨かないでそれらを食べると、口の中の細菌が発酵性炭水化物と出会い、細菌が繁殖するのに最適な環境となるのです。
米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の微生物専門家で小児歯科医のリベイロ博士(Dr. Apoena de Aguiar Ribeiro)によれば、このようなことが起こると、結果として酸が歯のエナメル質を傷つけ、虫歯になりやすくなるとのことです。逆に言うと、食事の前に歯を磨けば、細菌を除去する効果があり、口の中の朝食を餌にして細菌が増殖する機会を無くすことができます。
リベイロ博士によると、朝食前の歯磨きが推奨されるもうひとつの理由は、歯を保護する優れた力を持つ唾液の分泌を促進できるからだそうです。また、唾液に含まれる重炭酸塩は、口の中の酸を中和する働きがあります。
さらに、歯磨き粉にフッ素が含まれていると、歯のエナメル質を強化し、食べ物の酸を中和して虫歯を防ぐのに役立ちます。
また、小児歯科教授のロシオ・キノネス博士(Dr.Rocio Quinonez)は、「多くの親が朝、子どもの世話をするために常に急いで朝食を済ませ、結果として歯磨きを忘れてしまうことがよくある。そのため、朝食前にあらかじめ歯を磨いておけば、歯磨きを忘れることも避けられる」と述べています。
朝食後に歯を磨く
朝食後に歯磨きをする人も大勢います。これに対して、米ミシガン大学歯学部教授・副学部長のカルロス・ゴンサレス・カベサス氏(Dr.Carlos González-Cabezas)は、「歯磨きが十分でない人が多く、磨いても口の中に細菌が残っていることがある。これらの細菌は朝食時からの1日中増殖し、口内環境が酸性に傾くので、朝食後に歯磨きをすれば、口の中に残る食べ物を最小限に抑えられるので、細菌の繁殖を抑えることができる」と述べました。
ゴンサレス・カベサス博士は続いて、「歯磨きの直後に食べ物を噛んでいなければ、歯磨き粉に含まれるフッ素が保持され、一日中よく働く可能性がある」と述べています。
コーヒーやオレンジジュースなどの酸性飲料を食事と一緒に摂取した場合、食後すぐに歯磨きをするとエナメル質を傷める可能性があると言う専門家もいますが、ゴンサレス・カベサス博士は、「実際に起こりうるダメージは非常に小さく、歯の健康にそれほど影響はないと考えられる。朝食後の歯磨きの利点は、潜在する悪影響を上回る」と述べました。
また、食後の歯磨きに慣れている人に対して、リベイロ博士は、できれば食後30分以上経ってから磨くこと、歯についた食べかすを取りたい場合はまず水で取り除くこと、などのアドバイスをされています。
専門家が述べる朝食前と朝食後の歯磨きのそれぞれの長所と短所を紹介しました。絶対に一致する答えはないし、そこには絶対的な正解もありません。ですから、最も重要なことは、良いオーラルケアの習慣をいかに維持することができるかなのです。自分に合う習慣を維持できれば、それが自分にとって一番の答えだと思います!
(翻訳・玉竹)