11月末に発表された最新の中国富豪ランキング「胡潤百富(フルン・レポート)」によると、中国の純資産1000万元以上の富裕層の規模は、2021年に比べて4万世帯増加したことが明らかになった。
フルン・レポートと英中合資の「シティック・プルデンシャル生命保険(中信保誠人寿保険)」は11月末、共同で「2022年中国における純資産の富裕世帯レポート」を発表した。このレポートの統計によると、世帯純資産が600万元(約1.17億円)の富裕層は508万世帯に達し、前年比7万人増加、世帯純資産が1000万元(約1.96億円)の富裕層は206万世帯に達し、前年比4万世帯増加となった。純資産1億元(約19億円)の富裕層は13万世帯に達しているという。
新型コロナウイルスの流行が発生以来、中国共産党当局の3年間にわたるゼロコロナ政策は、全国の数え切れないほどの中小企業や個人に影響を与え、特に飲食業界、観光業界、娯楽業界、小売業界に従事する人々には深刻な損失をもたらしている。貧富の差が拡大する中、中国共産党が強調してきた「共同富裕」という目標は、さらに遠く及ばないように見える。
在米中国人組織「公民力量(シチズン・パワー)」の創設者である楊建利氏はボイス・オブ・アメリカとのインタビューで、次のように語った。「中国国民のこの1、2年間の反応を見ると、とても不安な状態であり、習近平氏に対する不信感や恐怖感が高まっているのだ。その直接的な表れが、ますます多くの人が中国から逃げ出していることだ。(中国からの)脱出者らは、自分たちの財産が『共同富裕』という政策によって没収されることを恐れており、将来も非常に楽観視できないでいる」
フルン・レポートに記載されている資産が1000万元以上の富裕層の数は減少するどころか増えていることについて、楊建利氏は、それらの富裕層がまだ主要な打撃ターゲットになっていないからだと述べた。「中国共産党が最初に目に付けたのは、富裕層のトップにある人達である。これらの富豪の富は国に匹敵できるため、中国共産党や習近平氏と仲違いすると、間違いなく習氏に政治的脅威を与えることになる」
中国共産党が今やろうとしていることは、トップ富裕層らの資本を制限し、中国の経済をある程度コントロールすることだと、楊氏が述べた。「コントロールは計画経済ではない。彼(中国共産党)は市場や私有財産を維持したいが、コントロールや制限も必要だと考えている。トップ富裕層らは私有財産につい、ボスが誰であるかを知っておく必要がある。お金を稼ぐために(富裕層らは)自分のやり方で開発してもいいが、私(中国共産党)が介入しようと思えば介入できる」
(翻訳・藍彧)