中国株式市場で投げ売りが起きた後、日本以外のアジア太平洋地域の株式を幅広くカバーする株価指数MSCIは1.2%下落した。(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国の北京、上海など十数都市で勃発した大規模な抗議活動が、同国の経済成長率の見通しを悪くしている。11月28日、世界の株式市場は揺れ、原油や商品の価格は下落した。

 中国株式市場で投げ売りが起きた後、日本以外のアジア太平洋地域の株式を幅広くカバーする株価指数MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は1.2%下落した。欧州のベンチマークであるストックス欧州600指数(STOXX)は取引開始直後に0.9%下落、オーストラリアのベンチマーク株式指数は0.42%下落、日本の日経平均指数は0.4%下落した。米国市場のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)500指数の先物は0.8%下落した。

 中国の経済成長への懸念が、他の大口商品市場にも波及し、銅をはじめとする金属価格が下落した。

 中国の需要に敏感な世界エネルギー市場も反応し、原油価格が下落した。グリニッジ標準時の11月28日9時50分、ブレント原油の価格は3.1%下落した。また、米国産原油のウェスト・テキサス・インターミディエイトも約3%下落した。

 オーストラリアを拠点とするK2(ケーツー)アセット・マネジメント・ホールディングスの取締役のジョージ・ブーブラズ氏(George Boubouras)は、北京当局による非常に厳しい封鎖措置が、以前から中国の消費者やビジネス環境に影響を与えていることは明らかで、中国の国内総生産(GDP)予想は1年以上前から低下傾向にあり、さらに低下することが予想されると述べた。市場は不確実性を好まず、投資家は北京当局の「ゼロコロナ政策」に対する何らかの声明が出るのを待っている。

 野村アジア(日本を除く)のエコノミスト、ロバート・スバラマン氏は、中国当局の防疫対策に対する反応が遅すぎたため、感染者の急増で、より多くの抗議デモを引き起こし、社会不安は経済成長の予想をさらに弱めると指摘した。また、中国の情勢は非常に不安定で、北京当局はコロナと共存することを学ぶべきだと述べた。

 11月28日、中国で厳格な新型コロナウイルス感染対策への抗議活動が発生したことへの警戒感から、リスク回避の円買い・ドル売りが強まり、円相場は1ドル=137円台後半に上伸し、29日1ドル=138円台後半に戻った。

(翻訳・藍彧)