中国の新エネルギー用リチウムイオン電池向け絶縁体(セパレーター)大手、エンジェル(雲南恩捷股分有限公司)は21日、同社の李暁明(りーしょうめい)会長と李暁華(りーしょうか)副会長が警察から住宅監視下に置かれたと発表された。このニュースを受けて、エンジェルの時価総額は翌日約139億元(約2700億円)蒸発した。
エンジェルの役員情報によると、李暁明氏は1958年生まれ、アメリカ国籍、海外居留権を持ち、現在エンジェル会長を務めている。李暁華氏は1962年生まれ、中国国籍、海外居留権を持ち、現在エンジェル副会長・社長を務めている。2人は兄弟関係である。
中国の民間シンクタンク、胡潤(こじゅん)研究院が8日公表した中国富豪番付「胡潤百富」2022年版では、李暁明氏の一族が440億元(約8556億円)の資産で雲南省企業家のトップに、李暁華氏の一族が325億元(約6320億円)の資産で雲南省企業家の第2位にランクインしている。
中国メディア「第一財経」の報道によると、李氏兄弟が調査されたのは、4年前に江西省のリチウム電池用セパレータ会社である江西通瑞(ついずい)新能源技術発展有限公司(以下、江西通瑞)を買収したためだという。
2018年11月、エンジェルは江西省高安市(こうあんし)の江西通瑞の100%株式を2億元(38.89億円)の対価で買収した。しかし、エンジェルが江西通瑞を買収した時、江西通瑞の純資産はわずか1.3億元(約25.28億円)だった。十数億元を超える資金援助や銀行融資は、財務諸表に反映されておらず、さらに、未完成のプロジェクトがまだあったのにもかかわらず、なぜ2億元で転売されたのか、大きな「未解決問題」」となっている。
エンジェルが江西通瑞を買収した時、袁和庚(えんわこう)は高安市委員会の書記を務めていた。公式の発表によると、袁和庚は政府調達や司法活動に不正に介入し、プロジェクトの引き受け、プロジェクトの決済、事業運営などでその職務の便宜を利用して他人の利益を図り、単独または親族と一緒に不法に巨額の賄賂などを受け取ったとされている。2021年に当局に解任され、2022年5月、袁和庚は当局から捜査された。
(翻訳・藍彧)