近年、科学者たちの実験によって「植物には感情があり、視覚、聴覚、嗅覚があり、記憶し大切に扱われるのを好む」という結果が、次々と明らかにされています。アメリカのミズーリ大学の研究では、ある植物はイモムシが葉を食べる音を聞こえると、虫が嫌うマスタードオイルをより多く分泌し、自分の身を守ることが発見されました。また「植物は、お酒を飲んだ人に嗅がれるのを嫌う」という研究結果も出ています。これらの研究結果は、我々の植物に関する既成概念を覆し続けています。
イギリスの月刊誌『植物学年報(Annals of Botany)』に掲載された研究では、植物が麻酔薬に対して、動物や人間と同様な反応を示すことが指摘されました。
同誌によると、イタリアのフィレンツェ大学とドイツのボン大学の共同研究チームは、ハエトリソウ、ミモザ、ササゲ、およびエンドウマメなどの基本的な運動現象を持つ植物に、いくつかの方法で全身麻酔をかけました。エチルエーテルガスやキセノンガスが充満した場所に置いたり、根を洗浄してからリドカイン溶液に漬けたりして、植物に麻酔薬を吸引させました。その結果、これらの植物は皆、どの種類の麻酔薬に対しても、通常の運動現象をしない、あるいは静止状態に陥るなどの似たような反応を示しました。
科学者たちは、生物の電気信号の伝達が、人間や動物だけでなく、植物にもあると発見しました。例えば、ハエトリグサは、近くにいる昆虫や獲物を感知すると、葉を閉じることで知られていますが、麻酔がかけられると、面白い現象が起こりました。科学者たちが、ハエトリグサの細胞の電気的活動を測定すると、葉を閉じるための電気信号が送られなくなったことが分かったのです。鋭利なものでハエトリグサの感覚毛を刺激しても、葉を閉じませんでした。
また、この研究結果によると、ミモザをエチルエーテルに暴露させると、約1時間後に、ミモザは触覚刺激に対する反応が完全になくなったという同様の効果も確認されたとのことです。
研究者たちは、植物も命のある生き物であり、自分なりの生物的特徴を持っており、人間と同じように痛みや喜びを感じているかもしれないと考えています。今回の研究は、植物が麻酔に反応する仕組みを知るのに役立つと思われます。これまで科学者たちが行った、動物を使った麻酔薬のテストでは、研究に基づき予想した結果と実際の反応が、度々かけ離れてしまっていました。今後、植物を使った麻酔薬のテストにより、より信頼性の高いデータが得られ、より良い麻酔薬の開発に役立つ可能性があると期待されています。
(翻訳・清水小桐)