毛沢東(左)鄧小平(中)習近平(右)(パブリック・ドメイン)

 中国共産党全国人民代表大会常務委員会はこのほど、「立法法」改正草案を公開した。11月29日までネット上で意見を公募している。

 中国の「立法法」は、他の法律の制定や法律の解釈の指針となる憲法である。「立法法」改正草案では、「総則」第一章の第三条「経済建設を中心とする」と「改革開放を堅持する」との内容が削除された。その代わり、「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想を指針として堅持する」という内容が追加された。この改正草案は10月30日に中国共産党全国人民代表大会で一次審査を通過し、その後2度の審議と修正を経て、法律として公布されることになる。

 元北京大学法学部教授でオーストラリア在住の袁紅氷(えんこうひょう)氏は、この改正草案は中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)で出された政治的結論を法的に拡大したものだと指摘する。第20回党大会は、鄧小平時代の経済建設と改革開放に重点を置いた中国共産党の基本的な国策を事実上否定するものとなった。

 米国在住の評論家、鄭浩昌(ていこうしょう)氏によると、経済建設と改革開放の重点が削除されたことは、習近平氏の「鎖国」や、鄧小平を否定する左傾化の傾向が全面的に反映されているという。鄭氏は、「習近平氏は自分の考えを法律に盛り込んで、明確な規制にするのが好きだ。そうすると、いわゆる『法に基づいて国を統治する』ことになり、今回もそうだろう」と分析した。

 習近平氏は8日、中国共産党中央軍事委員会統合司令部(中国軍の最高司令部)を視察した。視察の際、習氏は軍隊の全精力を戦争に集中させること、軍隊の仕事をすべて戦争に向けることを幹部たちに強調した。

 習氏は個人の独裁を完全に固めたため、第20回党大会の後に習氏の政治意志を完全に実行し、中国を毛沢東時代に戻すと考えている、と袁紅氷氏が述べた。

 「第20回党大会の後、習氏は15万人の役人を粛清する計画を立てているそうだ。現在の粛清で役人から没収された財産の平均額によると、1人の役人が平均1億元(約20億円)近くの財産を没収されることになる。習氏はこれらの財産をすべて軍事拡張に投じるだろう。一方、対外的には、共産主義中央集権主義の世界的な拡張を推進し、軍事拡張を主な形としている可能性が高い。そのため、台湾海峡での戦争開始は、より緊迫した脅威となる。このように、習氏は21世紀の人類、自由民主主義に対する根本的な脅威となる」

(翻訳・藍彧)