11月5日深夜、中国共産党の都市封鎖(ロックダウン)政策のもと、ある絶望的な母親の飛び降り自殺が、内モンゴル自治区フフホト市の死のような静寂を破った。死者の娘さんは遺体にしがみつき、胸が張り裂けるほど悲しくて号泣していた。その様子は、周囲の住民によって撮影され、ネットに投稿された。
ロックダウンの真相を探るため、弊社の記者はモンゴルの青年ドルジさんにインタビューした。
ドルジさん:この封鎖はほとんど予兆がなかった。中国共産党フフホト市委員会が下った命令で、周辺都市との交通が直ちに遮断された。民衆の死活は全く考慮されていなかった。一般市民は、彼ら(当局)がどれほど恣意的で残忍な行為をしているのか想像もつかない。包頭市(ボグトし)やウランチャブ市からフフホト市に来た多くの人は、フフホト市当局が彼らの進入を阻止したため、高速道路で立ち往生していた。これらの人々は感染地域に入ったとして帰れなくなり、3日間も高速道路で立ち往生していた。3日間、食べ物も飲み物もなかった。
記者:では、近くに助けを求める可能性はなかったのか?
ドルジさん:いいえ、できない。周辺の村は防疫スタッフで見張られている。高速道路から脱出しようとすると追い返される。トイレに行きたければその場でしなければならず、おそらくトイレットペーパーも持っていなかったと思う。フフホト市から周辺都市までは高速道路で1〜2時間の距離なので、道中で隔離されるとはまったく想定していなかった。11月に入ると気温が下がったので、冬服を用意していない人たちがガソリン代を節約するために車の暖房をつけないでいた。車の中でどれ程大変なのか想像がつくだろう。
記者:フフホト政府は、このような緊急事態になるとは考えていなかったのか。
ドルジさん:まともな人なら、誰でも思いつくと思う。しかし、新型コロナウイルスが今や衰弱してインフルエンザよりも害の少ない一般的な呼吸器疾患になっているにもかかわらず、彼ら(現地当局)はロックダウンから誰一人も逃さない。習近平は2つのことを言ったことがある。1つは、腕を折る勇気を持つこと、もう1つは彼が自ら指揮することだ。彼(習近平)が感染対応に遅れたことに対する民衆からの不満を引き受けた以上、当然、これらの役人らに怒りをぶつけ、懲らしめるだろう。そのため、役人らは民衆の死活を考慮せずにロックダウンを実行している。上海が4、5月に経験したロックダウンのように、今のフフホト市は上海の悲劇を繰り返していることに他ならない。
記者:これはたくらみのようだ。
ドルジさん:そうだ、確かに策略だ。役人たちにとっては、国民の安全よりも自分たちの昇進のほうが大事だと非常に明確にしている。上海の多くの人が李強を批判したにも関わらず、降格されるどころか、総理になったことを見ればわかるだろう。
記者:では、民衆の食料はまだ足りているのか?とれとも、すでに飢饉が起きているのか?
ドルジさん:私の知る限り、地元住民は飢饉に備えて備蓄していた。しかし、中国共産党の冷酷さ、無情さを過小評価し、十分な備えをしていなかった。食糧を蓄えていなければ、一時的に購入した食料はせいぜい中国共産党第20回党大会の終わりまでしか持ちこたえられない。だから、今ではすでに権力を使って食料を手に入れる行為が行われるようになっている。
(翻訳・藍彧)