柔道の練習(パブリック・ドメイン)
交通事故で左の腕を失ってしまった10代の少年が、柔道を学ぶことにした。
少年は非常に真剣に学んでいたが、6ヶ月経っても先生は少年に同じ動きを繰り返し教えるだけだったので、少年は困惑した。
ある時、少年は我慢できずに先生に「もっと多くの動きを教えていただけないでしょうか?」と尋ねた。
すると先生は「君はこの動きを良く学べば充分だ」と答えた。
少年は先生の意図を理解できなかったが、先生の言葉を信じて一生懸命練習を続けた。
数ヵ月後、先生は少年を昇段試験に参加させることにした。試合で少年は、先生に教えてもらった動きを巧みに使い勝ち続けた。決勝の相手も、耐えられないほど強かったが、少年は激しい戦いの末、逆転優勝した。
少年は帰り道、先生に教えてもらった只1つの動きだけでなぜ優勝できたのか、先生に尋ねた。
先生は少年に「理由は二つある。一つは、私が君に教えたのは柔道の中で最も難しい動きだったが、君はとても上手にできるようになった。もう一つは、相手はこの動きを解くために、君の左手を掴まなければならないからだ」と答えた。
少年の最も弱いところが、少年を優勝させる鍵となったのだ。
我々には誰にでも弱いところがあるが、我々の弱いところに常に神様が存在し、予期せぬ程の力を授けて下さる。
神様が授けて下さった全てを、我々が善行の為に使う限り、我々も必ずこの少年のように、自分の弱さから別の種類の「神様からの祝福」を見いだせるはずだ。
(翻訳・謝 如初)