古代の人々は今と異なり、素行や徳を重んじ、師を敬っていた。(絵:志清/看中国)
岳飛、恩師を忘れず
宋の時代の英雄である岳飛は、幼いごろに父を亡くし、貧乏で塾に行くお金がなかった。しかし、彼は勤勉で、塾の窓の外で盗み聞きし、木の枝を筆の代わりに、土を紙の代わりにした。塾の先生周侗は勤勉な岳飛を気に入り、弟子入りした。人としての道理を教え、国を守る抱負を抱かせた。奇数の日は文学を学ばせ、偶数の日は武術を習わせた。弓の技も教え、どちらの手でも弓が引けて、百発百中になった。
岳飛は師の教えをもとに一生懸命練習し、文武ともに上達した。彼は後に軍を率いて、失地を回復し、手柄を立て、金を脅かす英雄となった。周侗が世を去った後、岳飛はまるで息子のように葬式を行った。さらに、朔望(さくぼう:陰暦の1日と15日)にどこにいても、必ず師の供養をした。毎回泣いた後、いつも師にいただいた150キロの弓「神腕弓」で三つの矢を射っていた。「恩師のことは一生忘れられない。なぜなら、私に国を守る道理や弓の技術を教えてくださったのだ」と岳飛は言った。
古代の人は、「仏教、道教、儒教から出た聖人にも師があり、数千年もの帝王たちにも師があり」という。人が師を敬わなければ恩を忘れることになり、如何に道を成しえるのか。謙虚な姿勢で、師を敬う態度こそ後世の人々の模範となり、学ぶべき存在となるのだ。
(おわり)
(翻訳・北条)