HKEX(Longshing Ma Hon Wonia, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 23日に発足した中国新指導部で習近平総書記に権限が一段と集中し、中国経済の先行きに対する警戒感が広がり、政治や経済の不透明感から週明け24日の香港株が急落した。一部の専門家は「中国にはもう本当に経済に詳しい人が常務委員会に残っていない」と警告した。

 習近平氏は23日、前例を破って3期目の任期を確保し、忠実者からなる新たな政治局常務委員の名簿を発表した。

 それを受け、香港のハンセン指数は24日、前週末終値比1030.43ポイント6.36%安の1万5180.69と急落、2009年4月以来、約13年半ぶりの最安値を更新し、1日の下落率としては2008年11月以来約14年ぶりの大きさだった。中国の電子商取引大手アリババ・グループ11%安、出前アプリの美団は15%安、テンセントも11%安だった。中国本土市場では上海総合指数が2%安で取引を終えた。24日発表の中国の22年7~9月期の国内総生産(GDP)は市場の事前予想を上回ったものの、株価の押し上げ効果は限られた。

 18カ国に拠点を持つ米国ワシントンDCに本社を置くコンサルティング会社であるマクラーティ・アソシエイツのシニア・アドバイザーであるスティーブン・オークン氏は、「ウォール・ストリート・ジャーナル」に対し、この結果は、ゼロコロナ政策や米中関係の悪化を含む多くの外国企業が懸念する政策が継続される可能性があることを意味していると述べた。

 資産運用社ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、アレス・コートニー氏は、ロイター通信に対し、これら(新常務委員)の任命は「中国が実用主義から政治イデオロギーに転向していることを示唆している」と述べた。

 大和証券の細井秀司シニアストラテジストは、習近平総書記への権力集中が進んで「香港への政治的締め付けが一段と強くなる可能性がある。香港株の下落幅が大きいため、東京市場の投資家心理を不安にさせている」とみていた。

(翻訳・吉原木子)