AvtoVAZ がロシアのトリアッティで製造した日産アルメーラ。(Ilya Plekhanov, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons)

 日産自動車(以下、日産)は11日、1ユーロ(約143円)の価格でロシアでの業務をロシア国営の自動車・エンジン中央科学研究所(NAMI)に譲渡し、同国より撤退すると発表した。売却にともない約1000億円の特別損失がでる見通し。

 日産は、子会社のロシア日産自動車製造(ロシア日産)の全株式をモスクワの自動車・エンジン中央科学研究所(NAMI)に譲渡すると発表した。NAMIとの取引には、サンクトペテルブルクでの生産・研究施設とモスクワの販売・マーケティングセンターが含まれている。

 日産は、ウクライナへの軍事侵攻の影響で、部品が調達できないなどの理由から、今年3月からサンクトペテルブルクの工場の稼働を停止していたが、今も生産再開の見通しが立たないという。その後、外部環境の変化は「予測不可能」であり、ロシア市場からの撤退を決断するに至ったという。なお、日産は今後の6年の間、ロシア日産と同社の事業を買い戻せる権利を持ち、行使が可能としている。

 これによって、日産自動車はロシアが2月にウクライナに侵略して以来、ロシア市場を離れた最初の大手企業となった。この決定により、撤退に伴いおよそ1000億円の損失を計上する見込みである。

 ロシアのデニス・マントゥロフ産業商務相はある声明の中で、「日産の撤退は同業界にとって重要な意義がある」と述べた。

 日本経済新聞によると、三菱自動車もロシアからの撤退を検討しているという。しかし、三菱の責任者はまだ決まっていないと示した。

(翻訳・吉原木子)