ロシア軍がウクライナ戦線での敗退を受け、プーチン政権が情勢のエスカレーションをほのめかしていると、英紙デイリー・メール3日の記事で分かった。また、NATO(北大西洋条約機構)は、ロシアが原子核魚雷「ポセイドン」システムのテストを計画している可能性があると警告した。
イタリアの「ラ・レプブリカ」紙によると、ロシア初の原子力核魚雷を搭載するとみられる原子力潜水艦「ベルゴロド」が、「終末兵器」と呼ばれる原子力核魚雷「ポセイドン」のテストを計画していると、NATO情報当局が、警告する極秘レポートを主要加盟国に送付したという。
報道によると、ベルゴロドは全長182メートル、重さ14700トン、排水量24000トン近くの世界最大級の原子力潜水艦で、「ポセイドン」魚雷6発を搭載し、空母打撃群、沿岸防衛、インフラを攻撃することが可能だという。ベルゴロドは「超兵器」を開発、運用することを目的としたプーチン氏のトップシークレットのプロジェクトの一環として、今年7月にロシア海軍に引き渡された。
3日時点でロケーションが特定されていないが、ロシアの潜水艦は世界最高のステルス能力を備えていることから、驚くことではないという。かつて、長距離巡航ミサイルを積んだロシア潜水艦が、米国の海域で検出されずに活動したこともあったという。
NATOは、ベルゴロドの今回の任務がポセイドン魚雷の初テストの準備であることを懸念している。
ポセイドンの全長は20メートルを超え、事実上、距離の制約なしに核攻撃を加えることが可能な巨大水中ドローンと考えられる。推進1000メートルを速力約70ノットで進むことが可能とみられている。大陸間弾道ミサイルに比べると非常に遅く、攻撃目標は海上、またはニューヨークやロサンゼルスなどの沿岸に制限されるが、既存の兵器では止めることが不可能だという。
ロシア側は、「ポセイドン」が核弾頭を搭載すれば、敵海軍基地を灰にするほどの威力があり、高さ約500メートルの津波を作り出し、瞬時に周辺の都市を平地にすることができると誇示した。
ロシアメディアは、ポセイドンは最大で100メガトン級の破壊力の核弾頭を積むことが可能だと説明した。イギリス沿岸で爆発すると、最大500メートルの高さの巨大津波を起こし、ブリテン諸島を「放射能砂漠」に化すと述べるなど、威力を誇示した。8000キロ離れた米国沿岸に直行して攻撃できるという。
ロシアの動きは、必要なら本気で動く姿勢を示すことを目的としているという。それに対し、バイデン氏はプーチン氏に対抗するための核戦力と最強の空母を公開した。米国は最近、B-52爆撃機の映像や、核弾頭を搭載した戦闘機が国外に飛び出す様子の映像を公開した。つまり、ロシアが核兵器を使えば、アメリカも核兵器を使うことを意味する。また、アメリカ海軍の原子力空母「USSジェラルド・R・フォード」も北大西洋に配備されている。
元米中央情報局(CIA)のデヴィッド・ペトレイアス長官は、もしプーチン氏がウクライナで核兵器を使用すれば、米国はNATOを率いてウクライナのロシア軍を殲滅(せんめつ)し、ロシアの黒海艦隊をすべて撃沈すると述べた。
プーチン氏に残された時間は少なく、ロシアの核脅威はウクライナ軍を抑止し、既得権益を維持したままウクライナに最終戦争協定を結ばせるためのものであると、分析する人がいた。
(翻訳・藍彧)