吉林銀行(ネット写真)

 これまで、中国銀行の破たん事件が世界中に注目され、銀行の引き出しの難しさや資金の安全性などの問題が絶えず議論されてきた。浙江省の女性がこのほど、約2億円(1000万元)を1年定期預金として銀行に預けたが、数日後に残高がゼロになったというニュースが再び話題となった。

 中国複数のメディアによると、浙江省寧波市出身の高さん(女性)は、友人から吉林銀行大連支店の預金金利が他行より高いことを聞き、2017年に吉林銀行大連支店に1年定期預金で約2億円を預け入れたという。数日後、高さんはインターネットバンキングで自分の銀行口座を確認すると、約2億円の預金の利用可能残高が「ゼロ」になり、口座も凍結されて使用できないことにショックを受けた。

 高さんはすぐに銀行に問い合わせに行ったところ、銀行職員からはその預金を「担保付融資(注)」にしたため、規定された期限に達しなければ、凍結解除や引き出しができず、担保付融資の期限満了日は2099年の12月31日で、82年間になると言われた。

 しかし、高さんは、預金を「質権」として貸したことはなく、預金後に銀行に行ったこともなかったと指摘し、銀行がどのように「担保付融資」サービスに処理したのかを疑問視した。

 銀行職員の説明によると、高さんの預金から3日目に、寧夏省銀川のエンジニアリング会社から連絡があり、高さんが「質権担保書」に署名し、大連の不動産会社に約2億円の資金を質入れすることを銀行に委託したという。銀行は委任状を受けた後、不動産会社に約2億円の担保付融資をさせたため、高さんの預金を凍結したという。不動産会社がローンを返済できなければ、高さんの預金はローンの返済に使われる。

 高さんは、公証役場に行ったこともなく、「質権担保書」に署名したこともないと繰り返し強調した。中国銀監局はすでに高さんの訴えを受理しており、事実であれば関係機関を処罰するとしている。

 この事件は、実は2018年に報道されたもので、最近になってメディアが事件を蒸し返した結果、再びネットユーザーの間で議論を呼んだが、事件の結果については何も語られていなかった。

(注):「担保付融資」とは、中国の担保法に規定される質権設定方法に従い、借入人または第三者の動産または権利を担保として貸主が行う融資を指す。

(翻訳・藍彧)