ロシアとドイツを結ぶ海底の天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」で「前例のない」規模の損傷が報告された。原因をめぐって、海底で爆発が観測されたという情報や破壊工作があったとの見方を強めている。
ロシアからドイツ向けの天然ガスパイプラインをめぐって27日、デンマーク軍がバルト海にあるボーンホルム島沖の3か所でガス漏れが確認されたと明らかにした。
26日にロシアからドイツと結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」でガス漏れが発生したのに続き、27日にはデンマーク軍により「ノルドストリーム1」でも2カ所の漏れが発生したと確認された。
ノルドストリーム・パイプラインからはバルト海の3カ所で同時にガス漏れが発生し、ドイツ当局が調査を開始。スウェーデン沿岸警備隊によると、ガス漏れの規模は極めて大きく、付近を航行する船舶のレーダーで確認できるほどだという。
調査が進行中であることを理由に匿名で語った独安全保障当局者によると、技術的な問題ではなく破壊行為を証拠が示唆しているという。
デンマーク軍によると、ガス漏れが原因とみられる泡が海面に発生し、最も大きな漏えいがある場所では、直径1キロメートル以上の泡が海面から発生したという。デンマーク当局は海上交通に危険があるとして、島の沖から5海里以内の航行を禁止した。
ドイツのハーベック経済相は、ガス漏れはガス管を狙った攻撃によるもので自然現象や消耗が原因ではないことは確かだと述べた。
デンマークのフレデリクセン首相とスウェーデンのアンデション首相は意図的な行為によるもので、恐らく破壊工作との認識を示した。
ロシアも破壊工作の可能性があるとの見方を表明し、ガス漏れで欧州のエネルギー安全保障が損なわれたと指摘した。
スウェーデンのウプサラ大学国立地震学センター(SNSN)は、2回目の大きな爆発が「100キログラム以上のダイナマイトに相当する」とし、爆発は海底下ではなく水中で起きたと説明した。
デンマーク・エネルギー庁のベッツァウ長官は、パイプラインの穴は非常に大きく、ノルドストリーム2からのガス漏れが止まるまでおそらく1週間かかると述べた。「海面にはメタンが充満しており、この海域では爆発の危険性が高まっている」と警告した。
(翻訳・藍彧)