習近平氏(Kremlin.ru, CC BY 4.0 , via Wikimedia Commons)

 習近平氏は27日、ようやく公の場に姿を見せ、クーデターの噂を破った。中国問題に詳しいアナリストの中には、中国共産党(以下、中共)政治体制の不透明さがデマの拡散に大きな空間を与えたが、今回のデマは中国の一般国民ができる仕業ではなく、中共上層部の異なる派閥からの情報流出であると指摘する人もいる。

 中国公式メディア「新華社」の報道によると、習氏は27日、中共第20回全国代表大会(第20回党大会)の開催を控え、北京展覧館を訪れ、「新時代を奮起して進む」テーマ成果展を見学したという。中共の機関紙「人民日報」やCCTV(中央テレビジョン)は同時にこのニュースを報じた。

 公式メディアは、習氏を含む政治局常務委員7人と、北京にいる政治局委員、最高裁判所長官、最高検察院長官、最高検察庁検事総長、中央軍事委員会委員らが同行したと伝えたが、王岐山国家副主席には一切触れなかった。

 習氏の今回の行動は、彼が軟禁されたという噂を直接的に払拭したことになる。中共の政治は不透明であるため、外部の人間には中国共産党内部で何が起こっているのか推測することが難しく、こうした噂が広まる余地を与えたのだ。

 元米国防総省のトンプソン氏は、冷戦時代でも、ワシントンなど西側諸国は、クレムリンの意思決定の仕方や注意すべき事項についてよく知っていたが、現在は中共に関わることを知ることは難しいと述べた。

 習氏が軟禁された噂について、国立台湾師範大学政治学研究所の范世平教授は、中共第20回党大会前における習氏軟禁の噂は、明らかに権力闘争と関わっていると分析した。最近、中共当局が行った傅政華、孫力軍らに対する重刑判決や、司法機関に対する粛清が、権力闘争の激しさを表している。

(翻訳・吉原木子)