ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナでの軍事作戦で劣勢を挽回するため「部分動員令」に署名したと明らかにした。約30万人が招集されるという。これがロシア人の出国ラッシュを引き起こし、ロシアから出国するための片道航空券価格が21日に急上昇し、売り切れるケースも出ている。
BBCの報道によると、プーチン氏は現地時間の21日午前(日本時間同日午後)、国営テレビの全国放送を通じて国民に演説し、ロシアは即日から部分的動員状態に入ると発表したという。ロシア国防相はその後、30万人の予備兵力を招集すると発表した。
プーチン大統領が動員令を発するというニュースは20日に広がり始め、ロシアのネット上で「ロシアを離れる方法」「兵役を遅らせる方法」という検索が急増した。
動員令が21日に発表された後、グーグルのデータによると、ロシアで人気のある航空券予約サイト「アビアセールス(Aviasales)」の検索が急増した、とロイター通信の記事で分かった。
グーグルのキーワード検索データによると、プーチン氏のテレビ演説が放映され始めてから、ロシアでは「航空券」「飛行機」の検索が2倍以上に増えたという。一方、「ロシア出国」の検索は、22日朝はいつもの100倍も多かった。
アビアセールスでは、ロシア人がビザ(査証)なしで入国できるトルコのイスタンブールとアルメニアのエレバンへの直行便航空券を21日に完売した。
現地時間午後2時15分時点でトルコ航空のモスクワ発イスタンブール行きの便は25日まで満席となっている。
ジョージアの首都トビリシへの乗り継ぎ便も完売した。ドバイ行き航空券の最安値は30万ルーブル(約70万円)を超え、平均月収の約5倍に上昇した。
グーグルのデータによると、ロシアからトルコへの片道航空券は1週間前に約2万2000ルーブル(約5万円)だったが、7万ルーブル(約16万円)に跳ね上がった。
観光業界関係者は、ロシアからのビザ免除国への航空券需要が急増しているとし、「21日午前中には片道切符を20万ルーブル(約46万円)から30万ルーブルで購入可能だったが、今は買えない。国を離れることができなくなることを恐れる人のパニック買いだ」と指摘した。
AFP通信によると、ロシアによるウクライナに対する侵攻が開始した当初、戦争に反対するロシア人や軍隊に動員されることを恐れたロシア人が大量に逃げ出したという。非公表の公式推計によると、少なくとも数万人に及ぶという。
(翻訳・藍彧)