英国政府の「国際通商省輸出管理局」が中国からのライセンス申請を拒否した後、名門インペリアル・カレッジ・ロンドンは今年末までに、中国国営企業が出資する2つの主要研究センターを閉鎖すると、英ガーディアン紙9月11日の記事で分かった。
記事によると、2つの研究センターのうち1つは、工業構造設計・製造センターだという。同センターは、中国の民間および軍用航空産業サプライヤーと長年にわたって協力関係を築いていおり、最先端の航空宇宙材料の研究に対して、これまでに600万ポンド(約10億円)を超える資金を提供してきたという。
もう1つは、インペリアル・カレッジ・ロンドンと共同で運営している、中国の国営航空宇宙・国防会社の子会社であるBiam(ビアム)である。Biamは高性能電池、ジェットエンジン部品、耐衝撃航空機フロントガラスに関するプロジェクトに、これまで450万ポンド(約7.5億円)の資金を提供してきたという。
2012年に設立された2つの研究センターは、民間航空宇宙技術の推進を目指していると述べた。しかし、これらの研究が中国共産党の軍事分野に使用される可能性があると指摘する者がいた。
英外交シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン協会」のコミュニケーションディレクターであるサム・アームストロング氏は、ガーディアン紙に対し、「かなり肯定的に言えることは、英政府が、ライセンスの継続は中国(中国共産党)の軍事発展を促進できると考えている。それは、(英国政府にとって)安全保障上の脅威である」と述べた。
記事によると、英国政府は近年、民間及び軍事用途の両方に使用できる「デュアルユース」技術の学術共同研究を取り締まっているとのこと。上記の2つの研究センターのほか、中国運載火箭技術研究院は英国理工系大学インペリアル・カレッジ・ロンドンやマンチェスター大学に出資していた施設を含め、過去3年間に5つの共同研究が密かに打ち切られたという。
これらの研究所の閉鎖は、英中関係の大きな変化を反映しているという評論もある。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の中国問題専門家チャールズ・パートン氏は、英国が現在、民間と軍事用途の差が縮まっていることを意識しており、「軍事的用途や人権問題を引き起こせるいかなる分野での協力はあってはならない」と述べた。
英国の「国家安全保障・投資法」が2022年1月4日に施行されて以来、英政府はすでに2件の中国企業による買収を中止した。英国新政権が中国共産党に対してより強硬な態度になる可能性があるため、英国企業は次々と中国共産党から離れることを選んでいる。
英紙フィナンシャル・タイムズ最近の報道によると、数千社の英国企業が中国との経済関係を断ち切ろうとしている。
(翻訳・藍彧)