中国人民元の対米ドル為替レートが急落しているため、資本流出に拍車をかけている。中国の外貨準備高は大きな問題が生じると、金融危機が勃発する可能性があると指摘するアナリストもいる。
今年4月以降、人民元の対ドル為替レートは下落を続け、4月上旬の対米ドルの6.33元から9月8日には6.97元に落下し、下落幅は9%を超えた。中国の債券価格も連動して下落した。中国中央銀行は5日、落下を抑制するため、金融機関の外貨預金に対する預金準備率を15日から8%から6%に引き下げることを決定した。
最近、人民元が対米ドルで下落を続けているのは、海外投資家が中国債券を売却し、資本逃避していることが直接の原因で、金融危機につながる可能性があると指摘するアナリストもいる。
現在、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続により、米中通貨の金利差が拡大し、これがさらなる人民元安を招いている。
資本流出は大きく分けると海外投資家の中国資産売却と、当局の資本規制の網を潜る資本逃避である。中国債券は人民元建てであるため、人民元の切り下げに伴い中国債券の価値も下がり、外国人投資家は保有する中国債券を売却することになった。6月の外国の中国債券保有残高は1月に比べ、約1200億ドル(約16兆6000億円)減った。
それを横目に、既得権を持つ富裕層は香港経由などで資本を国外に逃している。資本流出の具体的な額は今、把握できていない。2015年夏には習政権による元切り下げと米金利引き上げが重なり、資本逃避が急増し、金融危機になりかけた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月26日、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」において、米国のインフレ抑制のためにあらゆる金融政策ツールを活用すると、強い姿勢を示していた。
フランスのナティクシス投資銀行、アジア太平洋担当チーフエコノミスト アリシア・ガルシア・エレーロ氏は、「中国の中央銀行がさらに金利を下げる余地を縮小し、特に中国が最も金利を下げる必要がある時だから、これは中国にとって悪いニュースだ。中国の中央銀行は資本規制を強化して、さらなる資本流出を防がなければならない」と述べた。
(翻訳・藍彧)