オーストラリア西岸の海底で、全長110マイル(約177km)の海草が発見され、DNA検査の結果、一株の海草であることが明らかになりました。
『サイエンス・アラート』誌によると、西オーストラリア大学、フリンダース大学、キングス・パーク・サイエンスなどの研究チームが世界遺産の西オーストラリア州シャーク湾で探査した時、海底に大きな海草藻場を発見しました。この海草藻場にある海草の種類を把握するために、ランダムサンプリングによるDNA解析を行ったところ、海草の全体が「ポシドニア・オーストラリス(Posidonia australis)」という1株の海草であることがわかりました。巨大な海草は少なくとも4500年もの時間をかけて180kmにわたって広がり「現存する世界最大の植物になるかもしれない」とのことです。
一般的に海草は、2種類の方法で成長します。1つは有性生殖で、新しい遺伝子の組み合わせや遺伝子の多様性を生み出し、環境変化に対応できるように成長する方法です。もう1つは無性生殖で、根茎を伸ばし、地下茎を出現させることで成長する方法です。「ポシドニア・オーストラリス」という海草は通常有性生殖をしないことが分かりましたが、4500年もの時間、どのように環境変化に対応していたのでしょうか?
研究者たちは、2010年のシャーク湾の熱波の後、海草の細胞内で小さな遺伝子変異が起こり、環境変化に対応するための遺伝子が生まれたのではないかと推測しています。
今回の探査ではこの他にも、15kmの巨大な海草植物「ポシドニア・オセアニカ(Posidonia oceanica)」も発見され、10万年前から存在している可能性があると推測しています。
このような海草は、嵐から海岸を守り、二酸化炭素を吸収し、気候変動に重要な役割を果たし、極限状態でも生育できるため、今後の更なる研究にも注目が必要です。
(翻訳・玉竹)