中国では最近、ネット上で「中国歴史学院:明清時代における『鎖国』問題に関する新たな模索」というタイトルの記事が炎上している。国民は、習近平氏のこのやり方が、毛沢東の閉鎖的な時代に戻るための伏線を張っているのではないかと危惧している。
中国共産党の第 20 回全国代表大会(党大会)が近づく中、再選を目指す習氏はいろんな課題に直面している。対内的には、ゼロコロナ政策を実施することで、中国経済が停滞・急落し、失業率は2割に達し、都市封鎖や未完成物件、銀行の不正などで国民の不満や抗議が強まっている。対外的には、中国軍の大規模な軍事演習で台湾海峡の緊張を高め、米中関係は対抗する方向に進み続けている。
こうした中、8月25日、中国歴史研究院が発表した「明清時代における『鎖国』問題に関する新たな模索」という記事がネット上で話題になっている。記事では、明と清の王朝は「鎖国」ではなく、西側の植民地侵略を防ぐための「自主規制」にすぎなかったと主張した。記事が掲載された後、すぐに中国世論の注目を集めた。多くの人がすぐに同記事を「ゼロコロナ政策」の下での、当局の外国との交流制限策と結びつけた。
プリンストン・チャイナ・イニシアチブの陳奎徳代表は8月29日、ラジオ・フリー・アジアに対し、この記事の背景は、習近平氏が再選を目指すための政治的な試みであると語った。「彼(習氏)がこの記事を投げ出しても、世論の反応がそれほど強くなく、党内の反応もそれほど激しくなければ、彼はさらに勢力や記事を組織して、より高層の政治宣伝部門へ進む可能性がある」
陳奎徳氏は、習近平氏が政権を握ってからのさまざまな政策は、論理的には必然的に鎖国につながると分析した。「彼(習氏)は現在、自分の政策を正当化し、理論的根拠を探している。鎖国を翻案しようとしているので、過去に宣伝していた、改革開放が鎖国を破ったなどの論理をすべて打ち破ろうとしている」
陳氏は、この記事は北戴河会議の直後に掲載され、中国共産党の政治長老が会議中に習近平氏を批判し、彼の再選に抵抗を示したのだろう、習氏は世論に備える必要があったと分析した。「このような世論を発表しなければならないということは、彼(習氏)がまだ目的を完全に達成していないことを示す、つまりこの政治闘争はまだ膠着状態にあるのだ」
(翻訳・藍彧)