中国の大型国有企業5社が12日、米国の株式市場での上場廃止を申請すると発表した。これにより、金融分野における米中のデカップリングが加速されると言う専門家もいる。
米国市場に上場する中国企業は、米当局から厳格な会計監査の受け入れを求められており、上場廃止により内部情報の開示を回避する狙いがあるとみられる。
中国石油化工(シノペック)、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)、中国人寿保険、中国アルミニウム、中国石化上海石油化工の中国大手国有企業5社は12日、ニューヨーク証券取引所から上場廃止すると発表した。ブルームバーグ15日の報道で分かった。
上記各社は、米国での上場廃止の理由として、「(米国)証券取引法に基づく定期的な報告および関連する義務」の管理負担が大きすぎることを挙げており、そのため米国での上場廃止を発表した。
米国では、投資家の権利を保護するため、2002年からすべての上場企業の財務諸表を米公開会社会計監督委員会(PCAOB)の検査を受けなければならないと規定している。しかし、中国共産党政権は、米国の規制当局が中国企業の財務諸表を検査することを一貫して拒否してきた。
2020年、ナスダックに上場している中国のコーヒー小売チェーン「瑞星珈琲」が、2019年の収益の大部分を意図的に改ざんしていたことが発覚した。その後、米議会の超党派が稀に一致行動をとり、中国と香港に拠点を置く米国上場企業に対し、最終的に米国の財務査察と調査を受けなければならず、そうでなければ米国市場での取引を認めないことを要求した。
台湾の政治経済評論家である呉嘉隆氏は、希望之声とのインタビューで、外国企業が米国の投資家に会計士による監査済み財務諸表を提供することは、米国企業がこの要件に従っていることから、合理的な要件であるとし、「中国側は、この要件を満たせない、あるいは米国の金融規制要件を満たしたくないと思ったり、自らの意思で撤退したりすることで、米中の金融デカップリングが加速される」と述べた。
ナティクシスのシニアエコノミスト、ゲーリー・ウン氏(香港在勤)は「良い兆候ではない。大量のデータを管理している国有企業や民間企業が追随する可能性が高い」と指摘した。
サクソ銀行の大中華圏担当市場ストラテジスト、レドモンド・ウォン氏は、中国東方航空と中国南方航空も同様の方針を「近く」発表する可能性があると予想した。
アナリストは次に米上場廃止に踏み切る可能性があるのは国営航空会社で、それにインターネット大手が続くとみている。
(翻訳・藍彧)