人権団体セーフガード・ディフェンダーズが16日に発表した「中国の精神病院刑務所」と題する新しい報告書は、中国共産党が数十年来、少なくとも100人近くの反体制派を警察が管理する精神病院に強制的に送り込み、電気ショックや強制投薬など、最長10年間に及んだことを明らかにした。
報告書によると、中国には反体制派を迫害する専用の精神病院や類似の施設が少なくとも109カ所あるという。2015年から2021年の間に、少なくとも144件の強制入院があり、そのうち3分の1は複数回精神病院に送られ、5回以上が2人、20回が1人、約6カ月以上監禁された人が約50人、10年以上監禁された人が9人いたと判明した。
報告書によると、被害者は、麻酔なしで電気ショックを与えられる、自分の排泄物に寝かされる、殴られる、ベッドに縛り付けられる、家族や弁護士との通話や面会を阻止されるなどの肉体的・精神的虐待を受けているという。
報告書はまた、上海市内に暮らす董瑶琼(ドン・ヤオチョン)という女性(30歳)が2018年7月4日、「習近平の独裁的で専制的な暴政に反対する」とし、街角にあった政権のプロパガンダポスターの習近平の顔に墨汁をぶっかけたことを例に挙げた。
董さんはその様子を自ら動画に収め、ネットで配信していた。董さんはその後、中国当局により24時間警察の監視下にある湖南省の精神病院に送られ、向精神薬を服用させられ、1年以上経ってから釈放された。しかし、彼女は2020年5月、再び精神病院に拘留され殴られ、ベッドに縛り付けられ、半年後に釈放された時には認知症と夜驚症になっていた。2021年初頭には3度病院に戻され、現在の所在は不明である。
「精神病院に閉じ込められて最も恐ろしいのは期限がないことだ。20年、ひいては30年もそこに閉じ込められているかもしれない」と報告書は反体制派の宋在民(ソン・ジェミン)氏の言葉を引用した。
中国問題の専門家である横河氏は、大規模な精神病学による反体制派の迫害は、法輪功団体への迫害から始まり、現在も続いていると指摘した。
明慧網によると、中国共産党は信仰放棄を強要するため、健康で精神的に正常な法輪功学習者を精神病院に強制拘禁している。
明慧網は多くの事例を挙げている。ここでは1例だけを挙げる。山東省斉魯石油化学のコンピューターエンジニア、法輪功学習者である蘇剛氏(32歳)は2000年5月23日、「何の精神的な問題もない」にもかかわらず、警察と勤め先の斉魯石化会社により、濰坊市(いほうし)昌楽県の精神病院に強制的に送られた。毎日、中枢神経系を破壊する大量の薬物を強制的に注射された9日後、放心状態のようなうつろな目つきになり、反応が鈍く、手足が硬直し、顔に血の気がなくなり、極度に衰弱し、6月10日に心不全で死去した。
(翻訳・藍彧)