ウクライナの穀物を積んだ貨物船の第一便(YouMaker動画のスクリーンショット)

 ウクライナの穀物輸出が曲折の末、再開にこぎ着けた。ウクライナの穀物を積んだ貨物船の第一便が3日、トルコのイスタンブールに到着し、国連などによる検査を受けた後、目的地のレバノンに向かった。

 ウクライナの輸送船ラゾーニ号は1日、ウクライナ産トウモロコシおよそ2万7000トンを積んでオデーサからレバノンに向けて出港した。同船は3日までに、ロシア、ウクライナ、トルコ、国連による主要な検査を通過していた。

 検査は1時間半ほどで終わり、貨物船は目的地のレバノンへ向かった。

 しかし、ウクライナで昨年収穫された輸出向け約2000万トンの穀物が滞留しているとされ、たった1隻の輸送船は、ウクライナの膨大な食糧からすれば、微々たるものでしかない。輸出が軌道に乗らなければ、同国産の穀物に依存する中東やアフリカを中心に食料危機の拡大につながる恐れがある。米国などは陸路での代替ルート支援も模索するが容易ではない。

 ゼレンスキー大統領は、「国連とトルコの仲介によって最初の船が出港した。それはまだ取るに足らないものだ。この傾向が続くことを願っている。この戦争がもたらす結果は恐ろしいものだ。ウクライナだけではなく世界全体にとって恐ろしいことになるだろう」と述べた。

 ウクライナは黒海ルートに加え、穀物輸出の安定性を確保するため、さらなる代替ルートを積極的に模索している。

 ロシアは2月の侵攻後、ウクライナの港を封鎖していた。先月、トルコと国連の仲介によりロシアとウクライナは穀物と肥料の輸出再開で合意した。このことによって、世界の食糧危機が緩和され、ウクライナの月50億ドルの財政赤字が削減されることが期待されている。

(翻訳・藍彧)