中国ロケット残骸(ツイッター動画のスクリーンショット)

 中国が自国の宇宙ステーション関連施設の打ち上げに使った運搬ロケット「長征5号B」の残骸が、インド洋上空で大気圏に突入したと米軍が30日に発表した。7月31日に人口密集地を避けるような制御はされずに、台湾南部からわずか約1400キロのフィリピン・パラワン島付近に落下した。

 ロケットは、7月24日に中国南部・海南島から打ち上げられ、中国が独自に建設中の宇宙ステーションと連結する実験棟「問天」を搭載していた。落下したのは、切り離されたロケットの第1段部分で、重さは約20トンと推定されている。残骸は長さ30メートル、重さ17~23トンとみられ、近年落下した宇宙ごみとしては最大級という。

 中国当局は、長征5号Bの残骸が北京時間31日0時55分ごろ、台湾南部からわずか約1,400km離れたフィリピンのパラワン島周辺の海域に墜落したと発表し、「大部分は大気圏突入の過程で燃え尽きた。地上に大きな被害はないと」と主張した。

 これを受けて、アメリカ航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は30日、ツイッターとNASAの公式サイトでの声明で、「中国は長征5号Bロケットの詳細な軌道情報を共有しなかった。特に人命や財産を失う重大なリスクを伴う長征5号Bのような20トンを超える大型ロケットについては、潜在的な衝突リスクを確実に予測できるようにするために、宇宙開発を行うすべての国が事前に情報を共有するべきだ。宇宙利用の責任を負い、地球上の人々の安全を確保するために不可欠なことだ」と批判した。

 中華民国(台湾)の「国防安全研究院」の王尊彦研究員は、希望之声とのインタビューで、「この状況を改善しなければ、今後、中国が宇宙技術を発展させればさせるほど、犠牲者になることを心配する国が増えるだけだ」とし、「国際舞台で立派な国になるには、他国を威圧したり、戦狼外交のように他国と争ったりするのではなく、国際社会の指導に耳を傾けることを学ばなければならない」と述べた。

(翻訳・藍彧)