モバイルバッテリー(lslqtz, CC0, via Wikimedia Commons)

 中国のモバイルバッテリーは、盗聴や位置特定ができ、市民の生活は「ライブストリーミング」されるようだと、中国メディアの記者の調査で分かった。

 中国公式誌「半月談」の記者は27日、盗聴や測位など複数の機能を兼ね備えたモバイルバッテリーが市場で流れていると明らかにした。内蔵の通信用SIMカードを改造するだけで、モバイルバッテリーが「盗聴器」と「位置特定器」に変身し、いつでもどこでも遠隔盗聴と正確な位置特定を実現することができる。

 貴州省貴陽市の王さん(男性)はうっかりして自分のモバイルバッテリーを割ってしまい、修理屋さんに持っていって検査してもらったところ、このモバイルバッテリーの中に盗聴器と位置特定装置がセットされていることが判明した。修理屋は、誰かが操作すれば、王さんの生活は全部のぞかれると述べた。

 記事によると、ネット上ではこのような位置特定、盗聴付きのモバイルバッテリーを販売している業者が少なくないという。ある業者のカスタマーサービスは、位置特定・盗聴付きのモバイルバッテリーは、オーダーメイドができ、1日に数十台を改造でき、価格は主にメモリの容量によって異なると明らかにした。

 「半月談」の記者は、300元(約6000円)で改造したモバイルバッテリーを注文した。到着後、ユーザーマニュアル通りに操作し、「測位」機能をクリックしてテストすると、地下鉄や駐車場などの場所でも、電波に影響されることなく、移動軌跡を明確に記録できることが分かった。

 上記のカスタマーサービスは、「半月談」の記者に、アプリに「音声制御チャット」を設置すれば、モバイルバッテリーの周囲の音声が50デシベルに達すると、録音機能が起動し、自動的に携帯電話に送信されると伝えた。また、自分の携帯電話番号をアプリのホワイトリストに追加し、その携帯電話の番号でマニュアルが提供している電話番号に電話すると、モバイルバッテリーは自動的に受信する携帯電話になる。

 現在、GPSロケータのような製品は、中国の国家強制製品認証カタログに登録されておらず、その上でマイクの集音などの機能を追加しても管理規定がなく、規制の盲点となっている。

(翻訳・藍彧)