習近平とバイデン(パブリック・ドメイン)

 バイデン米大統領と中国共産党の習近平総書記は28日夜、2時間以上にわたって電話会談した。双方が発表した公式声明によると、台湾問題が会話の焦点となっており、両者の分岐は解消されていないことが分かった。

 習近平氏は電話の中で、「我々は『台湾独立』の分裂と外部勢力の干渉に断固反対し、いかなる形の『台湾独立』勢力に対しても、その余地を残すことはない」と述べた。

 バイデン氏は「米国の1つの中国政策は変わっておらず、今後も変わらないこと、米国は台湾の独立を支持しないことを改めて強調する」と述べたと、中国共産党機関紙「新華社」が主張した。

 しかし、ホワイトハウスが発表した声明によると、バイデン氏は今回の電話会談で、米国は「どちらかが現状を変え、台湾海峡の平和を損なういかなる動きにも強く反対する」と強調し、「米国は『台湾関係法』、『3つの共同コミュニケ(注)』、『六つの保証』に基づき、我々は1つの中国政策を堅持する」と重ねて表明したという。

 米国が「一つの中国政策」を堅持するには前提があり、その前提が成り立たない場合は、米国は「一つの中国政策」を堅持しないと分析する人もいた。それに、ホワイトハウスの声明には、「独立」や「台湾独立」といった言葉はもちろん、「米国は台湾独立を支持しない」といった表現もなかったという。

 ホワイトハウスの声明はまた、今回の通話が3月18日の米中首脳会談や米中高官の一連の対話に続くものであり、バイデン政権が米中意思疎通の維持と深化に努めた一環だと指摘した。この声明は、米国が両国の分岐に責任を持って取り組み、両国の利害が一致するテーマについては協力する意思があることを強調している。

 一部のアナリストは、習近平氏がこのときバイデン氏と会談したのは、国内の苦境に追い込まれ、景気の悪化から国民の目をそらそうとしたのではないかと分析した。

 ブッシュ大統領の元アジアアドバイザーであるマイケル・グリーン氏は、習近平氏はゼロコロナ政策の不人気、景気悪化、不動産債務の増加など深刻な問題に直面しているため、第20回党大会の前に「強硬な態度」を示す必要があると、ニューヨークタイムズ紙が報じた。

(注)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。

(翻訳・藍彧)